2部分:第一幕その二
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第一幕その二
「城壁が!?」
「そうだ、バビロニア軍はあまりにも強い。もう陥落は目の前だ」
「そんな・・・・・・」
「城壁が」
「将軍」
ザッカーリアはそれを聞きイズマエーレに顔を向けてきた。そして問うた。
「何か」
「バビロニア軍の指揮官は誰ですかな」
「王です」
彼はこう答えた。
「王・・・・・・では」
「はい、バビロニア王ナブッコ自ら陣頭に立ち兵達を指揮しています。だからこそその戦意は天を焦がさんばかりなのです」
荒い声でそう述べた。
「王自らか」
「あのバビロニア王が」
「ここに来るというのか?」
「だから落ち着くのだ」
ザッカーリアはそう言ってまた民衆を宥めた。
「狼狽はそれ自体が破滅への道ぞ」
「はあ」
そう言われて彼等はまた落ち着いた。ザッカーリアはそれを確かめてからまたイズマエーレに顔を向けるのであった。
「では将軍」
「はい」
イズマエーレはそれに応える。ユダヤ人の中では司祭は王にも勝る権限を持ち王族や将軍といえど彼等には逆らえないのである。だからこそザッカーリアの方が彼より上位にあるのである。
「彼等はここにも来るのですね」
「おそらくは」
イズマエーレは辛い顔でそう述べた。
「それも時間の問題かと」
「民衆達は」
「今ここに避難させています」
彼は答えた。
「兵士達に導かれ。そして兵士達も徐々にこちらまで」
「街を捨てるのですか」
「街は後で幾らでも復活します」
彼は言った。
「ですがここは」
神殿を見上げる。神殿は巨大な石造りで禁と銀で眩いばかりに輝いている。
「一度破壊されたならば」
「そうです」
ザッカーリアはその言葉に頷く。
「その通りです。ですからここは何としても守り抜きましょう」
「ええ」
悲痛な顔でそれに応えた。
「それでですね」
ザカーリアはまた述べた。
「我々には切り札があるのです」
「切り札!?」
「そうです」
彼は語る。
「神が我々に下された贈り物です」
「それは一体」
いぶかしがりながらそれに問う。
「彼女です」
ザッカーリアはそう言って後ろにいるフェネーナを指し示した。
「彼女が」
「ええ、王の娘こそが」
確固たる決意のある言葉であった。その言葉も目も暗いものであるのに彼自身は気付いてはいないが。
「我等の救いとなるのです」
「祭司長、それでは」
「そうです」
彼はイズマエーレに頷く。
「いざという時は彼女を出せば」
「ですがそれは」
「将軍」
彼は言う。
「神はそれを認められます」
「神が」
「そうです」
誰もが逆らえない言葉であった。この時から遥か過去にこの言葉は数多く繰り返させ夥しい血の元となるのである。
「アブラハ
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