2部分:第一幕その二
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ムの偉大な力ある神が」
言わずと知れたヘブライの神である。
「お許しになられるのです。ですから」
「神よ、我等を救い給え」
民衆達も言った。
「この大きな試練を。陽の光の前の夜のように」
「風に捉えられた埃のように」
「災いを取り除き給え」
「災いを」
イズマエーレはそれを聞いて俯いて呟く。
「そうです、所詮は異教徒」
ザッカーリアもヘブライ人達もフェネーナをそう見ていたのだ。
「よいではありませんか」
「ええ」
イズマエーレは力なくそれに頷いた。
「では将軍」
ザッカーリアはそこまで言うと安心したように満面に笑みを浮かべる。それからまた述べた。
「我々は神殿の奥に下がります。ここはお任せしますぞ」
「わかりました」
「神に祈りを捧げて来ます」
彼は言う。
「皆で。それでは」
「ええ」
こうしてザッカーリアは民衆を連れてその場を後にした。そこにはイズマエーレとフェネーナだけが残った。
二人はただ神殿の前に立っていた。巨大で豪壮な神殿も誰もいなくなると急に寂れたようになる。まるで廃墟のようにである。
イズマエーレはその静寂の中にいた。そしてぽつりとフェネーナに声をかけてきた。
「フェネーナ」
「はい」
フェネーナも彼を見てそれに応えてきた。
「貴女はかってバビロンで私を助けてくれた」
実は彼は使者としてバビロンに赴きそこでフェネーナと会ったのである。だがそこで冤罪に問われ牢に入れられた。だがそれを救い出し無実を証明してくれたのが彼女なのである。
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