神器
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「・・・今、なんて言ったの・・・?」
病院の廊下で、【赤銅黒十字】に所属する霊視の力を持つ魔女とエリカが小声で話していた。一応、他人に声が聞こえないように魔術を使用しているが、それでも、この話の内容を聞かれると、とても厄介なことになるのは自明だった。エリカが聞かされた話は、それ程に衝撃的だったのだ。
「神器です。神具では有りません。・・・アレは、神器です。」
「まさか・・・!?唯の日本の男子高校生なんでしょ!?何でそんな人間が、神器なんて持っているのよ!?」
何故か、アレだけの爆発でも燃えないで残っていた護堂のリュック。その中に入っていたパスポートから、護堂の名前と経歴を洗い出した【赤銅黒十字】。この短時間でこれだけの行動が出来るというのも、大魔術結社ならではである。
この調査によって、護堂は魔術などの裏の世界とは何の関係もない一般人で、正確には、この春休みが終わった後から高校生活が始まる高校一年生だということが判明していた。
「神器なんて・・・神具の数倍珍しい代物じゃない。神々しか使用出来ない神具とは違って、素質さえ有れば、例え人間でも魔人でも使用出来る、神代の兵器。何でそんな物を彼が・・・。」
「最近では、【神殿教団】がオークションにかけた”ミドガルズオルム”が有名ですね。結局、落札した魔術結社では扱える人間がいなくて、家宝として倉庫の肥やしになっているようですが。」
今では大分大人しくなった(!?)が、カンピオーネとなった直後の【聖魔王】名護屋河鈴蘭の暴走ぶりは、かなりヤバかったと言われている。詳しい経緯は日本側が徹底的に隠蔽してしまったので不明だが、噂では、日本全ての、悪名高い暴力団組織と闇金が消滅したのだとか。全て【伊織魔殺商会】の傘下へと吸収されて、日本の裏の社会がかなり混乱したとも言われている。
そして、四人ものカンピオーネを生む直接の原因となった【神殿教会】改め【神殿教団】は、彼らの行動の後始末を世界から押し付けられていた。自業自得だが、それに伴う資金の流出が酷すぎて、一時は借金地獄へと叩き落とされたのだ。・・・しかも、【神殿教団】が借金出来るような裏の金融機関は、鈴蘭が脅していた為、彼らに金を貸すような真似はしなかった。結局、彼らがどこから借金したかと言えば・・・【伊織魔殺商会】である。
【伊織魔殺商会】の引き起こした事件の後始末をするのに、【伊織魔殺商会】から借金をする。・・・これ程の悪循環があるだろうか?利子は十日に一割。十分違法な金利なのだが、彼らに文句など言える訳もなく。踏み倒そうにも、敵がカンピオーネなのだ、踏み倒せる訳もなく。
哀れ、【神殿教団】は家具や装飾品だけでなく、”エンジェル・ストレージ”
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