第十八章
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、そんな立派なキャリーとスタンドをつけるのはよせ!うわぁ、俺のスマートでカッコいいSUPER NOVAが、野暮ったいカンジになっていく!!
…これ、ほぼランドナーじゃないか!騙したな貴様!!
俺が「いいなー」と一瞬でも思ってしまった瞬間、契約は成立してしまったらしい。ランドナーのペダルは非常に軽快に回り、徐々にに後ろの車を引き離し始めた。
――私は感情を信じない。…感情は、判断力を狂わせるのだよ。
伊佐木の言葉を聞いたとき、ハンマーで頭を殴られた気分だった。今まで伊佐木に感じていた、既視感をともなう不快感の正体が、ようやく分かった気がした。
伊佐木は、どこか僕と似ているんだ。
だから、相手の考えそうなことが手に取るように分かる。そしてその浅ましさにぞっとする。自分のイヤな部分を拡大して見せつけられているようで、居たたまれない気分になるんだ。
近親憎悪というのが、一番近い。
「…覚悟は、出来たかな?それでは、名前は知らないけど、君。紺野君の手にかかって、殺されてもらうよ。…とても頭の切れる、厄介な子だからね」
伊佐木と、目が合った。…そうだな、僕が伊佐木でもそうするよ。流迦ちゃんは、システムの暴走を程々の所で調整するために必要。それに紺野さんは、最終的に犯人に仕立て上げなければならないから、早い段階で死なれると辻褄が合わなくなる。それならまず最初に殺すのは、利用価値がなく、事情を知っている僕だ。その次は柚木か八幡か…でも。
「…いい加減にしろよ。こんな穴だらけの計画、ほんとに成功すると思ってるのか。本気で俺が、脅されてここにいる全員を殺し回ると?」
紺野さんが、絞り出すような声で呻いた。伊佐木は、何処を見ているのかわからないほど細い目を、さらに細めて笑った。
「君は何か、勘違いしているようだね。私にとっての成功は、『会社の威信を傷つける事なく、問題を解決すること』。それだけ、なんだよ。最終的に問題を解決するのは、私ではなくても構わない。つまり、私が死ぬことも、想定に含まれているんだよ」
「なに…!!」
「不安要素は、早めに絶っておきたい。しかし、私が手を下すのは、都合が悪い。だから犯人である紺野君の出番、なんだよ。…その子を1分以内に殺さないと、こっちの女の子を、私が殺す。…私に近寄っても、殺すよ。あとは、システムの暴走を待てば、互いが互いを殺しあい、全ては曖昧になる。証拠は、永久に隠滅される。先ほど事情を知らない部下に託した、君の暴走を示す私の手記。それ以外の証拠はね」
――気違い沙汰だ。ここにいる全員の顔が青ざめたというのに、ひとり涼しげに、柚木にナイフを突きつけている。…僕はこの中で多分、この男に一番近い位置にいる。そう思っていた。でも、違った。ベクトルが近かっただけだ。伊佐木は、来てはいけない場
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