15部分:第四幕その二
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ズマエーレはそれを聞いて呟いた。
「そこまで私を愛してくれて」
「そうだったのか」
ザッカーリアはここでようやく二人の心を知った。
「そなた等はそこまで想い合っていたのか」
「はい」
二人はそれに答える。
「今まで隠していましたが」
「私達は」
「これも神の御意志だろう」
彼は考える顔をしてから言った。
「運命だったのだ。そう、運命だ」
「では」
「そうだ、神が許されている」
ザッカーリアは述べた。
「だからこそ。私はそなた等の愛には何も言わぬ」
「有り難き御言葉」
二人はその言葉に頭を垂れた。
「いや」
だがザッカーリアはそんな二人に対して言った。
「むしろ謝るのは私だ」
「えっ」
「それは何故」
「そなた等に言った言葉だ」
ザッカーリアは今己の今までの二人への言葉と感情に恥を感じていた。それが彼を責め苛んでいたのだ。
「裏切り者と言い、そしてその命を利用しようとした。そのことは謝っても許してはくれぬな」
「兄上」
そんな彼に妹のアンナが声をかける。
「そこまで思われているのですか」
「そうだ、私は大切なことを忘れていた」
こうも言った。
「神への信仰を追い求めていると思っていても。その御心を知ることはなかった」
「我々もだ」
「そうだ」
ヘブライの者達もそれを聞いて気付いた。
「あまりにも他の者を見てはいなかった」
「自らのことだけを考えていた。だから」
「だからだ。今のこれは報いなのだ」
ザッカーリアは顔を上げて言う。
「全てはな」
「言いたいことはそれだけか」
だがそこにアビガイッレがやって来た。そして冷たい声でザッカーリアに対して言った。
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