第四十二話
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マズイと見回りしていたのですよ、それはそうとご店主どの、腹が空いているんだが料理なんかはどんなの出せそうです?」
あまり期待していなかったがその通りで、俺は揚げ魚を頼むと金を置き
「他の店も見回って来るので、後でまた伺いますからその時までにゆっくり作ってください」
その店を後にして別の店を訪ねるとヴォルツとベオウルフが酒をやりながらカードゲームらしきものをやっていた。
俺は空いてる椅子を持っていき、一緒の卓につくと給仕を呼び蒸留酒を二杯頼んだ。
もちろんこの二人に対してだ。
「やっぱり陸はいいですね」
俺が肩をすくめてそう言うと
「そいつぁ違いねぇ、ところで王子さん、アンタぁどうした? さっきから何回か出入りして」
ヴォルツがそう言うので俺は見回りのことを伝えると
「かーっ、そいつはいけねぇな、今夜くらい楽しまねぇと……って、オレの勝ちだな」
ヴォルツはニヤっと笑うとカードをベオウルフに見せて金を巻き上げた。
タイミング良く給仕が頼んだ酒を運んできたので代金を支払い、二人に奢りであることを告げ席を立とうとすると
「ねぇ、遊んでいかな〜い?」
着古した赤い衣装を纏ったけだるげな、齢は三十手前だろうか? 金髪女が俺の肩に手をかけてきた。
もちろんストライクゾーンだが
「いや、そういう気分じゃなくてな、他を当たってくれ」
「つれないこと言わないでおくれよぉ、初めてだから照れてるんだろ? サービスするからさぁ……」
「あなたを抱いたら四人目かな、俺のジンクスで四って数は縁起が悪くてね。 そっちのねぇさんも一緒に三人で楽しむってならアリだけど、いかんせんカネがたりなくてな。まぁ、そういうことで」
ベオウルフにしなだれかかっている黒髪女を見やってから金髪女のほうへ顔を向け、にやっとして言うと、彼女は舌を出して顔をしかめた。
「カワイイとこあるじゃん、一杯奢らせてほしいな」
俺は席を立ち、給仕を呼んで頼むと多めに代金をテーブルに置き
「俺はいいから、こっちの俺の兄貴分を楽しませてやってくれよ」
ヴォルツのほうを見やって彼女を座らせた。
「この方ぁ、さるやんごとなき身分のお方でな。坊やに見えるが国元にはおっかない嫁さんと愛人が二人もいてな、浮気がバレたら……ちょん切られるって話だ」
ヴォルツが悪ノリしてそんなウソを言うもんだから
「そういやドバールは、夜這いをミスって切られちまったのが運のツキでしたっけ」
キスマークをいくつかつけたベオウルフがにやっとしてそう言った。
「そういう訳で臆病者は退散しますよ。良い夜を」
俺は彼らに背を向けて店の出入り口へ向かいながら手をひらひらさせた。
……ドバールがブリギ
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