第四十二話
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が……
アグストリア西方の海岸線を行く手に見ながら航海は続き、旅程の半ばあたりからは俺もだいぶ船酔いに慣れて苦しみもやわらいできた。
最初は陸路を提案されたが所要時間がかかりすぎるのと、それにもしイムカ王が想定より早く亡くなればシャガールのことだ、旅人にどんな嫌がらせをしてくるのか予想もつかないので海路のほうが安全だろうから俺一人の我慢で良いということで海路を選択した。
船も乗組員もブリギッドのもので、旅程の最後にはユングヴィ南の港へと入港予定だ。
いずれ彼女が海軍でも作るつもりなら、その中核メンバーになるのではないだろうか。
最初は船長であるブリギッド無しでの航海に難色を乗組員に示されたが
「お前らがおしめの取れない赤ん坊ならまだしも、任せられる力量があるから任せるんだよ!これ以上言わせるな恥ずかしい!」
ブリギッドがこんなふうに一喝したところ、彼らは機嫌良く全面的に協力してくれている。
途中、ノディオンに入港し補給やヴェルダン方面の海図を求めた。
ヴェルダンと貿易をしている商会を探し出し交渉をしたところ、海図そのものは商会の宝なので譲れないとのことで、仕方なく水先案内人を借り受けることにした。
俺たちの目的が交易だとしたら彼を借り受けることも出来なかっただろう。
多少なりともエッダ教への敬意を払う相手だっただけに運が良かったとも言える。
ヴェルダン王国とその名を同じくする都に辿りつくまでに、浅瀬ややっかいな海流などが何か所もあっただけに水先案内人を雇ったのは正解だったのは間違いない。
港で彼の役目は終わり、例の商会が数日後に送りつける交易船の帰りの便に乗って帰るということで別れを告げた。
港の役人に俺たちの身分や旅の目的を告げ、ノディオンで発行してもらった通行証を示しカネを握らせると翌日に港の役所に顔を出すよう言われた。
乗組員にしろ傭兵にしろ丘に上がって明日まで自由と知ると、目指すはそう、酒場と売春宿だ。
喧嘩や殺しを厳禁ときつく言い含めてはあるが、果たしてどの程度守ってくれるものか……
心配であるので何件かある酒場を回ってみたところ、とりあえずはうちの関係者は騒ぎを起こしていないようで安心した。
時間の経過とともに酔いが進んで気が大きくなり、気の緩みで問題を起こすかも知れないので、その後何度も巡回し、その度に飲みもしない酒を頼まざるをえないのがもったいなかった。
ミルク!とか頼んでもトラブルになるだけですしーw
「よぉ、あんた、口もつけねぇのに何回も来てどうした?」
酒場の親父は俺にそう言うと屈託の無い笑みを浮かべた。
「ノディオンから着いたばかりなので、うちの船の乗組員がこちらのシキタリを知らずにトラブル起こしては
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