19*何がいよいよだ
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か初めての休暇だからぶらぶらしてた。」
まぁ実際、行くあても無くぶらぶらしてたんだがね。
ちなみに半分迷子になっていたというのは秘密だ。
「そうか、だと。」
ん?
何が?
と、自分が疑問に思っていると、大柄なゼノアの後ろから小柄なシルバちゃんがぎこちなく出現した。
「あ、あの……この前教えて貰ったあれが……その…出来るようになって……あの…見て貰いたくて…」
そう言って顔を赤くし、再びゼノアの後ろに隠れるシルバちゃん。
このふたり兄妹仲いいねぇ。
ちなみに彼女が言うこの前教えて貰ったあれとは自分がベッドで療養中に………後でいーか。
しかし、自分が起きてこの三日、こんな感じに隠れられたりするとさすがに傷つくね。
たしかに起きた直後のあれが恥ずかしいのはわかるが、この嫌われ様は……ねぇ。
「あー、そうなん?なら見ます、はいみして下さい。」
とりあえず、ガラス細工の鶴を扱う並に気を使いながら返事をする自分。
すると、ロボットみたいな動きでシルバちゃんがまたもでてきた。
熱暴走するんでね?って位真っ赤になって。
「あ、ならあの、中庭…に…」
あぁ、中庭ね。
たしかにここから出たらすぐだわな。
「ん、じゃあ行こう。」
そう自分が言うと、ぎくしゃくしながらシルバちゃんが動き出し、自分はそれについて行こうとして
「あ、ちょいまって………ん、ゼノア、ほれ。」
途中で立ち止まり、ゼノアにあるものを渡す。
そのあるものとは
「な……これは…」
「教科書と日本語をポノノ語に訳す事典だ。貸すから自分で読んで。」
そう、日本史の教科書と和ポノノ事典である。
ぶっちゃけ文字を教えるのと教科書読み聞かせを約束した自分はめんどくさいのでこれらをゼノアに貸し出したのだ。
反応は予想以上の好感触。
目を見開き口がぱくぱく言っている。
「い、いいのか!?」
「いいって別に、むしろ自分より有効活用できそうだし。」
「あ、ありがとう!さっそくつかわして貰う!!」
そう言うとゼノアは風の如く走り去った。
手には大事そうにニ冊の本を抱えながら。
いやぁ、歴オタは凄い。
自分みたいなアキバ系よりよっぽどパワーがある。
そう思いながら自分は廊下に立ちすくみながら自分を待っているシルバちゃんのもとへ歩き出す。
しかし、ゼノアよ。
君はたしか自分らみたいな一般兵士よかよっぽど偉いんと違いますか?
てんやわんやに巻き込まれてはいないのか?
そんな教科書読んでる暇あるのかね?
そして最後に、自分の横を通り過ぎる時に「妹をよろしくたのむ。』と聞こえたのは幻聴だよね?
************ん☆
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