12部分:第三幕その二
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第三幕その二
父と娘は今向かい合った。玉座の上と下で。しかし立場が全く変わっていた。アビガイッレはナブッコを不遜に見下ろしナブッコはそれを見上げていた。何もかもが変わってしまっちた。
「父上」
「まずは聞こう」
ナブッコは娘に対して言った。
「何故御前がそこにいるのだ」
「知れたことです」
アビガイッレは臆することなく言葉を返した。
「私は私がいるべき場所にいるだけです」
「何を言うか」
だがナブッコはそれを否定した。
「そこは私の場所だ。そして」
「父上」
しかしアビガイッレはそこから先を言わせなかった。
「今このバビロンでは深刻な問題が起こっております」
「それは何だというのだ」
「災いです」
アビガイッレは言った。
「災いが今バビロンを悩ませております」
「その災いとは何だ」
「ヘブライです」
それがアビガイッレの答えであった。
「そしてそれを庇い立てする者」
「まさか御前は」
「そうです」
傲然とした声であった。
「私は決めたのです、フェネーナとヘブライ人達の粛清を」
「それはならぬ」
ナブッコはすぐにそれに反対の考えを示してきた。
「それだけはならぬ」
「ヘブライの者達を救うというのですか?」
「そうではない」
これもまた否定した。
「あの者達は王である私にも背いてきた。しかし」
そのうえで言うのだ。
「フェネーナは」
「そう、彼女は」
アビガイッレはここで酷薄な笑みを浮かべて述べた。
「次にこの玉座に座るべきだと。そう仰りたいのですね」
「そうだ」
毅然としてそれに頷いた。
「だからこそ」
「そう、そして私は血筋からもここに座るべき者ではない」
「むっ」
ナブッコはこの言葉からあることを悟った。
「アビガイッレ、御前はまさか」
「はい」
酷薄な笑みにさらに陰惨なものが加わった。
「そうです、私は知ったのです」
声の色もその笑みと同じになっていた。陰気な声が王の間に響き渡る。
「私が奴隷の娘でありフェネーナこそが母上、いえ王妃の娘だということを」
「知ったのか、それを」
「そうです、だからこそ私は立ったのです」
アビガイッレはそう言い伝えた。
「正当な座を得る為に」
「だが御前は玉座に座ることは適わぬ」
ナブッコは今実際に彼女が玉座にいるというのにそれでも宣告した。
「御前には血筋がないからだ」
「血筋ですか」
しかしそれは今のアビガイッレには冷笑の対象としかならないものであった。実際に彼女は冷笑を浮かべていた。
「そんなものが何になりますか」
「ではどうしてそこに座るのか」
「力です」
傲慢そのものの目で父を見下ろして今言い切った。
「力によってです。王の力によって」
「
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