11部分:第三幕その一
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第三幕その一
第三幕 予言
バビロニアの女王となったアビガイッレはすぐに玉座についた。そして王の間に主だった高官や司祭、将軍達を集めてこれからのことについて話をはじめた。
あの紅の衣もマントも彼女のものとなっていた。彼女はそれを着て今玉座において全てを見下ろしていたのである。
「では話を聞こう」
彼女は下に控える全ての者達に対して言った。
「今どうするべきかを」
「はっ」
それに応えてイシュタルの巫女長が進み出て述べてきた。
「まずは今のバビロニアですが」
「うむ」
彼女は巫女長の言葉に鷹揚に応えた。
「繁栄を極めております。兵は強く富が集まっております」
「そうだな」
まずはその言葉に頷いた。
「ですが」
「ですが何だ?」
そのうえで巫女長の言葉に問う。
「申してみよ」
「はい。その中で不穏な者達がおります」
彼女はそう語った。
「言うまでもなくヘブライの者達です」
「そうだな」
アビガイッレはそれに頷いた。
「特にあのザッカーリアめは今でも我々への攻撃を止めません。このまま置いていれば」
「危険だというのだな」
「はい」
巫女長はそれに答えた。
「その通りです」
「そうだな。確かに」
国の中に不穏分子を置いておくわけにはいかない。そういうことであった。
「置いてはおけぬか」
「そうです。それに」
「フェネーナのことか」
アビガイッレはそれに問うた。
「そうなのか?」
「フェネーナ様にも困ったものです」
巫女長は顔を顰めてそう述べた。
「そのヘブライの者達を庇い立てするとは。どうしたものでしょうか」
「ふむ」
アビガイッレはそれを受けて考える顔を見せてきた。
「放ってはおけぬか」
「そうです。そしてそれを解決する方法は」
巫女長はここでアビガイッレを見てきた。目と目でも話をしていた。
「女王の御心にこそあります」
「私にか」
「左様です」
アビガイッレには巫女長が何を言いたいのかわかっていた。そのうえで話をしているのである。
「どうされますか」
「そうだな・・・・・・むっ」
だがここで誰かが王の間に入って来たのに気付いた。
「誰だ、呼んだ覚えはないぞ」
「ここに私が来るのに呼ばれる必要があるのか」
威厳はない、いや消えてしまっていたが確かな声であった。今王の間にナブッコが姿を現わしたのだ。
あの紅の衣もマントもなくみすぼらしい服である。だが彼はそれでも王の間にやって来たのであった。
「王よ」
「どうしてここに」
「言った筈だ」
ナブッコは驚く貴族達に対して言った。
「ここは私の場所だ。来る為に理由はいらぬと」
「しかし今は」
「それは」
皆口ごもっ
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