10部分:第二幕その五
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い。
しかしアビガイッレはその中で一人傲然としていた。そして他の者達に対して言う。
「王は今は失われた。だが次の王がいる」
「それは一体」
「私だ!」
彼女は今ここにはっきりと宣言した。
「私がその王だ!よいな!」
「アビガイッレ様!」
「貴女が王に!」
「そうだ、私こそが次のバビロニアの王だ!」
「何ということだ」
「まさかこの女が」
喜びに沸こうとしているバビロニアの者達に対してヘブライの者達は言葉を失っていた。
「今私はここに誓う。バビロニアの栄光を。そして」
きっとヘブライの者達を見据えてきた。
「それにあがらう者達への容赦ない裁きを。今こそ!」
「アビガイッレ様万歳!」
「バビロニアの繁栄は貴女と共に!」
兵士達の声が宮殿の外の民衆の声と重なる。そしてそれがさらに大きくなっていく。
その中でアビガイッレはフェネーナを見据えていた。その強い目にフェネーナは怯む。
しかしそこにイズマエーレが来て彼女を庇う。アビガイッレは彼も見たが今は何も言わなかった。
ナブッコは最早抜け殻と化していた。王冠を持たない抜け殻になっていた。王冠はもうアビガイッレのものになっていた。彼女はそこで傲然と立っていたのであった。
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