第四十一話
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た。
「みなさん、お揃いでどうぞって言われてます」
こちらから問い合せようとしたことを先に知らせてくれたので、俺たちは彼に続いて階上の部屋へと向かった。
慌てずに一歩づつ進むエーディンさんの足取りが心なしか律動的に、表情が輝いて見えるようなそんな気がした。
部屋への訪いを告げるためのノックの後、入るように声が中から聞こえてきたので、ヴェルリーに続いてエーディンさん、そして俺たちが一呼吸ぶんの間を置いて入室した。
部屋の中にある丸椅子に掛けているフードつきの衣装に身を包んだ、見るからに女性を窺わせる人影がフードを降ろすと、そこにはエーディンさんに瓜二つな美女の姿があった。
「ヴェルリーから似てる、似てるとは言われていたけれど、ここまでそっくりとはね」
「エーディンです!あなたの妹のエーディンです、思いだしてくださいませ、お姉さま……」
エーディンさんはブリギッドのすぐ側に近付くと取り縋るように膝をつき、彼女の腿に片腕を乗せ、空いた方の手で彼女の腕を握り体を預けると、はらはらと落涙し続けた。
「エーディン……エーディンか……言われてみると……」
ブリギッドは目を瞑るとエーディンさんの背中に腕を回し、時々彼女の背中をぽんぽんと優しく叩いていた。エーディンさんは落ち着いてから、互いの聖痕を確かめあった。
ブリギッドの右手の甲にもエーディンさんにも大きさは異なれどそれは有り、それから聖痕と聖戦士の話へと続き、彼女ら二人と形は異なれどクロード神父とシルヴィアの二人にも同じように聖痕はあり、この二人の形は同じく大きさは異なるのを示すと、ブリギッドは心底納得が行ったようだった。
「ブリギッドさん、神器に触れてみることで、今、多少の疑問に思っておられることが解決すると思いますよ」
クロード神父は穏やかな顔でそう告げた。
「……クロード様」
俺が呼びかけると彼はこちらに向き直り用向きを尋ねたので
「先日、ご覧いただいた杖の見立てでは、ブリギッド様がエーディン様と再会が叶ったのは今より2年とか3年近く先の、アグストリアがグランベルに征服された後でしたよね?」
「……たしかに」
「クロード様はおっしゃいました、自分には役割が無いと。 しかし、あなたが動かれてわたし達みなが力を合わせたことによりこうしてお二人の再会がずっと早く叶ったのです」
しばらく時間を置いてから
「変えられると思うのです。 あの悲劇は……」
--5章おわり--
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