第四十一話
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迫り合いなどしていては囲まれて終わってしまうから、一度全力で押してすぐに力を抜いて体を左に流すと、バランスを崩した敵の体が前に流れたので延髄に剣を叩き降ろす。
返り血を避けながら背後の味方の様子を見ると、まだ誰も大きな傷を負っては居ないようだ。
「ヴェルリー! これを使え!」
俺は自分の使っていた剣を彼に放ると、まさに首の皮一枚で繋がっていた敵から武器を奪い取った。
残された敵に水平に構えた剣を向けると、俺の足元でごろんとその首が転がり、ころころと転がり始めた。
その様を目にした敵の瞳には怯えの色が見えたので
「誰の差し金か申してみよ、素直に吐けば命までは取らぬ」
なるべく凄みを効かせて言ったつもりだが……
その効果があったのか前方の敵二人は脱兎の如く逃げ出した。
後背の敵への援護に俺が向かうと、数の不利を悟った敵は逃げ出した。
追いかけて手がかりを掴むか逡巡したが、これは俺達を分散させる罠かもしれず、港湾の守備隊へ出頭し事態を報告した。
町の礼拝所の司祭様が居たということで俺たちの証言は全面的に認められたが、死体の身元はすぐにはわからないということで帰された。
司祭様はもとよりエーディンさんもこの立ちまわりと、その結果もたらされた敵の死に精神的に参ってしまい、今日のところはブリギッドのアジトに向かうのは困難だろうということをヴェルリーに報告してもらうことにした。
彼は恐縮していたが、この襲撃事件はブリギッドの差し金とは考えようも無いことだから気にしないように、そして、こちらの都合で申し訳ないとの言伝も頼んだ。
司祭様を礼拝所まで送り届けると、代わりに礼拝所で司祭様の代わりを務めていたクロード神父とそれを手伝うシルヴィアがただならぬ様子を察して彼を労った。
「このような荒事に巻き込んでしまい、なんとお詫びを申してよいか……」
心から俺は詫びたつもりだが、思いは伝わったようで気にしないよう言われ、今日はこのあとずっと休んでもらうようお願いした。
俺も夕方まで礼拝所の掃除を手伝い、多少は罪滅ぼしになればいいと思った。
暗くなって来たので帰ろうとするとレイミアが五人部下を連れてやってきて、そのうち二人を礼拝所の護衛に付け、残りで宿まで送ってくれると申し出てくれた。
ありがたく受け入れ宿に帰りつくと、相変わらず宿のあるじも従業員もレイミアに恐れ入り、彼女はそれを気に留めたような態度もなくいつも通りさばさばしていた。
宿の従業員は俺達に客が来ていることを告げ、既に部屋に居るので連絡してくると申し出てそこへ向かった。
ほどなくしてヴェルリーを伴って戻ってきたので様子を見てみると
「おかしらが待ってます。来てはもらえませんか?」
俺がエーディンさんを見ると、彼女は目を輝かせ
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