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剣の丘に花は咲く 
第七章 銀の降臨祭
幕間 傷跡 弍
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ヒサウはそんな士郎を見下しながらも何とか説き伏せようとする。
 転がりながらもヒサウの言葉を聞いていた士郎は、痛む頭をさすりながらも、必死な形相で自分の決意を口にしようとしたが。

「てい」
「ぐぎっ?!」

 AKをバッドのように振り回すヒサウに側頭部を殴りつけられ止められてしまった。
 今まで以上の威力があったのか、士郎は呻き声を上げることも出来ず地面を転がっている。

「いいからお前――」
「いい加減にしろっ!!!」

 ピクピクと地面の上でヒクつく士郎を踏みつけながら、指を立てながら説教を始めようとしたヒサウだったが、急に立ち上がり怒声を上げる士郎に説教を止められた。

「……何だよ?」
「何だよ? じゃないっ!! ばかばかばかばか銃で殴りやがって!! 人助けで死ぬ前にお前に殺されるわっ!!」

 怒声を上げながら立ち上がった士郎は、AKの銃身を掴んだまま憮然とした顔をするヒサウに指を突きつけながら文句を言い放つ。
 だが、ヒサウも負けていない。

「人の言うことを聞かない士郎が悪いんだろッ!!」

 AKの銃身を掴み、士郎に突き付けながら文句を言う。

「だからって銃で殴るなッ!!?」
「撃たないだけマシだろっ!!」
「撃つつもりなのか?!」
「ちゃんと急所は外すから死にはしない!」
「自慢気に言うことかッ!!」
「銃の腕は自慢出来るっ!!」
「何を言っているんだお前はっ!!」
「うっせぇ! お前はオレの言うことを聞いておけばいいんだよっ!!」
「む、無茶苦茶だ」

 士郎とヒサウの言い争いは、ガキ大将のような言い分を恥ずかしげなく言い放ったヒサウの勝利に終わった。肩を落とし項垂れる士郎に鼻を鳴らし背を向けたヒサウは、立てた親指で焚き火の近くに置いてあるずだ袋を指差す。

「ほらっ! 山賊どもから奪った食料からさっさとデザートを作れッ!! ……疲れたから激甘を所望するぞ」
「……果物だけではな……他に何かないのか?」

 ゴロンと地面に転がりながら命令するヒサウに、士郎は肩と顔を落としながらただ頷くだけ。

「その中から探してくれ。オレは疲れたから寝る。出来たら教えてくれ」
「……一人で戦車を潰した俺は疲れてないと……」

 士郎の呆然とした呟きが、弾ける薪の音に混じって消えた。













 士郎と共に行動を始めてから、色々と……本当に色々なことが起きた。いや、起こしたが正確だろうか。

 病が蔓延し、終わりかけていた村を救うため、様々な理由から徒歩で二百キロ先の街まで走り抜けたり。
 土砂崩れで壊滅一つ前の村の復興に手を貸したり。
 野盗に襲われていた子供を救ったり。
 本当に色々なことがあった。

 
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