過去と異世界
魔物との対峙
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ビュンと音を立てながら紐をグルグルと回す。多分その遠心力で破壊力を増すのだろう。
「……りゃっ!!」
ビィィィィ――――
そんな音を立てて真っ直ぐに飛ぶ小石。もはや音が投石じゃない。
そしてたちまち白猿のこめかみを貫く小石。その正確無比なコントロールが羨ましいよ。
ギギッ!?奇声を発した巨体が音を立てて倒れる。
と、元々巨体が有った場所に謎の鋭い音が響いた。サンソンが気持ち悪いくらいの速さで突きを放ったのだ。
しかしグランシェの人間離れした投石が白猿をコカしたため、結果的にサンソンの攻撃は外れてしまった。どうやら彼は片膝を付いて動けないのではなく、動かなかっただけみたい。
少なくとも俺には到底出来そうもないそんな肝の据わった芸当に、素直に感心した。
「うぇっ!?」
と、驚きの声を上げたのはサンソン。そりゃそうだ。自分のカウンター攻撃が当たらなかったばかりか意味も分からず勝手にこちらが放った攻撃でいきなりヤツが倒れたんだし。
俺も勘違いしていたとは言え、グランシェは余計なしてしまったようだ。
と、その時
ビィィィィ――――と、またグランシェの投石紐から原始的な弾丸が発射された。
「えっ、まだ飛ばすの!?」
俺の問いかけに関係なく投石は器用に起き上がりかけていた白猿の心臓を貫く。ヤツはまた倒れたが、それでもすぐに起き上がった。
「あいつは不死身かぁ!?」
グランシェが隣で驚く。
と、サンソンが起き上がりゆっくりと猿に近付く。が、猿も流石に限界なのか今までの様な俊敏さは欠片も無いどころか、どこかもう覚悟を決めたような表情をしていた。
「はぁ、誰だか知らんが、イラン手助けを――」
そしてサンソンは無造作に猿をザクッと一突き。急所でもなさそうだったが、それでもシンバは動かなくなった。
そして────
「誰だお前は!!」
俺たちが隠れている岩の方に向かってのサンソンの怒声。ほらほら、怒られるってこれ……。
「は〜い」
と、それでも相変わらず陽気なグランシェ。マジで意味が分からん。
「なっ、グランシェさん!?それにタイチさんまでっ!!」
まず驚きの声はレベッカから上がった。それに対してもグランシェは軽いままで答える。
「いやぁ、面白そうだから見物に……」
「馬鹿かお前達は!! 相手は魔物だぞ? 何故人間の急所を狙う!!」
サンソンの罵声。なんか怒りの方向が違くない? そう思ったがそんな事は気にも留めていない様子で更に軽く答えるグランシェ。
「あぁ〜、やっぱり?なんかおっかしいなぁ〜って思ってたんだよね。こめかみから脳天貫いたし、心臓ブチ抜いたはずなのにケロッとして
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