過去と異世界
魔物との対峙
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、顔面の赤と折りなってとってもめでたく感じるが、そんなのんきな連想をしているのは日本人の俺だけだろう。
と、いきなりサンソンが指示を飛ばす。どうやらリーダーは彼の様だ。
「レベッカ!!飛ばせ!!」
そして、サンソンが地上5m程の高さまでジャンプした。筋力の流動とはそういう感じなのか。
更にレベッカの力か、謎の暴風が下から上へ。物理学的にありえない。
サンソンは剣を持ったまま、シンバの遥か上空を飛んでいる。
シンバはサンソンを警戒して彼の真下から逃げるが、レベッカが上空で風を吹かせてサンソンの落下地点を変更する。
シンバはレベッカがサンソンの動きを操っている事に気付いたのか、レベッカに攻撃を仕掛けようと爪を振り上げてレベッカに走って行く。
と、その時シンバの目の前に小さな火の手が上がり、ヤツは一瞬動きを止めた。
「姉ちゃん!!壁をっ!!」
レミントが姉のレベッカに叫んだ。彼が熱を草に流し込み、草が発火点に達したのだろう。
「はいよっ!!」
レベッカが半ば叫ぶように返事をして小さく燃える草の方を見る。すると草に付いた火の手は燃え上がり、一瞬だが炎の壁を作った。
いきなりの赤い壁にシンバは一瞬うろたえたが、やはりただの薄い炎の壁など一瞬で消え、レベッカに再び爪が……
食い込む事はなかった。
振り上げた右腕は上空からのサンソンの一撃で寸断されたのだ。更にはギギッと奇妙な唸りを上げた瞬間にその顎を貫かれる。
黒目がぐるんと上を向き、仰向けに猿が倒れた。が、
「まだだぞっ!!」
サンソンが叫ぶ。
白目を向いた片腕の巨大な白猿は、そのままの姿でで起き上がり、左腕を水平に広げる。
「来るぞっ!!」
サンソンがまた警告を発した。
白猿の左腕には微かな光。何だか本当に神々しい。
が、次の瞬間、その光が一瞬閃光したかと思うと大地をえぐる強烈な一撃がサンソンに襲い掛かった。あれが恐らく公式というやつだろう。
舞い上がる土塊、飛散する光。攻撃に伴ってのものであろう熱量は、僅かながら俺の所にまで届いていた。その死線の間にはサンソンが見えるが、少し手傷を負った様だ。片膝を付いている。
更に腕を振り上げるシンバ。怯むサンソンへの更なる追撃はシンバの勝利、即ちサンソンの死を意味するのだと勝手に感じていた。
「おいグランシェ、こりゃあ中々ヤバイんじゃないか?」
小声で聞くと、どうやらグランシェがやる気になったみたいだ。
「あぁ、少し手袋を貸してくれ」
俺はグランシェに自分の手袋を手渡す。怪力の神器だ。グランシェはそれをはめてマントから投石紐を出し、小石を設置する。
「そぉ〜………」
ビュン
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