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形而下の神々
過去と異世界
魔物との対峙
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こう」

 久しぶりに以心伝心だ。何だか嬉しくなるが、今はそんな場合じゃない。
 何があってもレベッカやレミントは命の恩人だ。
 俺としてはこれ以上の借りは気分が悪い。グランシェ的には友達を助ける感覚なのだろう。

 流動の公式とやらがどの程度の物なのかは知らないが、100%安全なんてことは無いだろう。
 俺は怪力の手袋が有るし、グランシェは戦闘のプロだ。

 魔物のシンバとやらをナメている訳ではないが、少しは役に立ちたい。

 「さ、走るぞ!!」
 と、グランシェが走り出す。冷たい風を感じながら、俺も大きく一歩を踏み出した。
 が、その時……。

 「ちょっと待ったぁ!!」

 走り出した俺達二人の背中に声がぶつかる。
 振り返ると、見覚えの有る華奢なレミングスの男が立っていた。しかし名前は忘れた。

 「君ら、レベッカのトコの旅人だね? シンバなら彼女達に任せてたら大丈夫だから、無駄に命を捨てちゃダメだ。というか足手まといになっちゃダメだよ」

 グランシェが少しムッとする。表には出さないが俺も結構不快だ。

 「どういう事だ?そもそもアンタは何故行かない」
 「俺の公式は『海の濃度の流動』だ。戦闘には向かないよ」

 男は残念そうに言った。確かに何だかショボそうだ。

 「たしかに、ここに海は無いしな」

 グランシェも残念そうに言う。確かに何だか残念だ。

 「その点レベッカは『空気の流動』だし、レミントは『熱の流動』だ。戦闘の天才だよ、あの兄弟は」
 「じゃあ二人だけで闘ってるのか?」

 俺の質問に、今度は彼は誇らしげに答えた。

 「いや、サンソンさんが居る。彼はすごいよ。 『筋力の流動』って言ってな、レミングスの中で一番強いと思う。 とにかく!! あの3人が居れば大丈夫だから、君等は行くなよ!!」

 しかし、見物に行く位は良いだろう。俺とグランシェで見物に向かおう。
 というかやっぱりここは行かなきゃ人としてダメだと思う。

 そうしてしきりに鳴る煩い奇声の方へ行き、近くの岩に身を隠して目を凝らすと、徐々にシンバとやらの全体像が見えてきた。

 「おい、あれがシンバか」

 ウザったいくらいに果てしなく、それでいて何の変化もない。そんなただの緑の草原に真っ白な巨体がズッシリと存在している。真っ赤な顔は地上3m程の位置にあり、中央にそびえる鼻は天狗を連想させた。
 金色の瞳からは敵意と好奇心が混ざったような感情が読み取れ、その視線の先には3人のレミングス達が立っていた。レベッカとレミントと、それに噂のサンソンだ。

 もちろんその巨体を支える四肢は大きく発達しており、まさに走れば風、殴れば烈火といった感じだ。神々しさすら感じさせる純白の毛並みは
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