第2話 東の蛇神とギフトゲームをするそうですよ?
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ムのルールを説明した。
その瞬間、周囲を、その白き帳で覆い隠していた霧の向こう側から、羊皮紙にも似た紙が、ハクと、そして、ハクの正面に存在する白き女性の手元へと落ちて来たのだ。
これは……。
「契約書類」
美月が我知らず、そう呟いた。これで、このギフトゲームは成立する。そもそも、ハクがこの様な事を為したのは、この川を支配する産土神のこの女性の真名を支配して、美月のコミュニティ『白き光』に水をもたらせる事が目的。
しかし、
「ハクちゃん。ここの土地で、一番霊力……神の力を操る事が出来るのは、そこの土地神。つまり、彼女よ。いくら、ハクちゃんの霊的な資質が高くても、所詮、人の身に過ぎない存在が、神の支配する土地でのゲームは危険過ぎる!」
同じように東洋系の魔法を操る美月故に判る部分も有る。確かに、ハクの霊力は神格を宿している。それは、審神者のタマも太鼓判を押したし、ここまでの彼女が示して来た能力からも窺い知る事が出来る。それに、元々、美月が召喚しようとしたのは龍神の神格を持つ転生者。この川の主が何者かは判らないけど、龍神に取って、川の主とは同格か、それよりも霊格は低い存在。このゲームに負ける要素は少ない。
しかし、それでも尚、このゲームは危険過ぎる。
まして、真名を賭けるなど……。
しかし、
「私の事ならば、大丈夫ですよ、美月さん」
ゆっくりと振り返ってから、美月に、その顔を見せた彼女の表情は……。微笑んでいた。何故だか妙に安心させる類の微笑み。少なくとも、最小限の勝算は確保している者の余裕を感じさせる物で有ったのは間違いなかった。
その顔容を見た美月も、覚悟を完了する。
そう、彼女がこのゲームを挑む理由は、彼女の為ではない。まして、暇つぶしの為などでもない。全ては、自分が率いているコミュニティへの水の供給を行う為。
そして、古来より、自然と言う物は荒々しく人に牙を剥く存在。それを聖別し、祓い清め、自然神から各地の産土神へと祭る事で、自然を人が住む事が出来る故郷へと変えて来たのは巫女や神職と言われる存在たち。
そうして……。
今の美月や、そして、ハクと名乗った少女は、正にその巫女と言われる存在。
つまり、彼女のこの行いは、彼女の今の姿形から正しい行いだと言う事と成ります。
「相談は終わったのかな」
豁然。その言葉と同時に白い女性の発した鬼気に、美月の全身が総毛立った。
そう、それは、今まで彼女が発していた神気が、かなり抑えられていた物で有る事が証明された瞬間。
そして、その女性の声に従い、周囲に澱んでいた霧が、ゆっくりと。しかし、じわり
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