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私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?
第2話 東の蛇神とギフトゲームをするそうですよ?
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 その一歩、一歩に意味を持たせ、ゆっくりとその水汲み場の突端に進むハク。

「神祓いに祓い給えば」

 刹那、周囲を白く淡い幕が垂れ込めて来た。
 そう。確かにここは、地形から推測すると霧や霞が出たとしても不思議ではない、そのような地形で有ろう。
 しかし、それが、美月が見ている目の前で急に発生するのは異常。これは、ハクが唱えている祝詞の所為で有る事は間違いない。

「八百万の神等諸共に、聞し召せと申す」

 きっちりと、二丈一尺の先までに九歩の足跡を付けたハクが立ち止まったその瞬間、白き帳の奥から、一人の女性がすうっと現れて春の少女の前に立つ。
 そう。その場に立って居たのは、白を基調とした、しかし、艶やかな金糸銀糸に彩られた古代中国……唐代の女性が着る衣装を身に付けた、濡れたような漆黒の髪の毛と、抜けるように白い肌のコントラストを持つ女性で有った。

 但し、何故か、受けるイメージが黒。そして、秋から冬に掛けての移り変わりを感じさせる冷たさ。

 ハクが今の季節に相応しい春の……。青の属性だとするのならば、新たに現れた女性は晩秋。白から黒の移り変わりを示す雰囲気を纏った美女で有った。

「妾を呼び出したのは、そなたかえ?」

 女性が、その見た目に相応しいかなり古風な口調で話し掛けて来る。
 その問いに重なる、冷たい湿った風。これは、間違いなく、この眼前の女性から発せられる物。

 その問い。……普通の人間ならば、この白く冷たい美女の発する神気の前では、真面に立つ事も容易ではないこの空間内で、しかし、春の微笑みを浮かべたままで、僅かに首肯くハク。
 そして、

「私とギフトゲームと言う物を行っては貰えないでしょうか?」

 ……と、美月に取っては、驚くべき内容を口にした。

「ちょ、ちょっと、ハクちゃん!」

 かなり慌てた雰囲気で、そう、自らが呼び出(召喚)した少女に問い掛ける美月。

 そう。何故ならば、そのハクの言葉を聞いた瞬間、美月の全身に寒気が走ったのだ。
 このハクの申し出は危険過ぎる。美月の本能が、経験が、そして、全ての感覚がそう警鐘を鳴らしている。
 それぐらい、この目の前に顕われた女性は危険な雰囲気を発して居たのだ。

 ギフトゲーム。ギフトを持つ者だけが参加できる神や魔物の遊び。ギフト……特殊な能力やアイテム。身に付けた特技などを用いて競い合い、勝者は主催者の提示した賞品を得る事が出来る。そのゲームの賞品とは様々な物で有り、ギフトや利権。果ては名誉などさえも、その賞品と為す事が出来る。
 当然、そのゲームの難易度も様々。それこそ、御近所の商店主のオジサンが主催する物から、死者が出るような、最早ゲーム、などとは簡単に呼べない物まで存在していた。

 そして
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