第2話 東の蛇神とギフトゲームをするそうですよ?
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していた白い小動物は、自らの仕事。西より侵入してくる根津魅の害を防ぐ、……と言う仕事に戻り、この場にやって来たのは、美月とハクの二人の巫女の姿だけで有った。
「ここが、このコミュニティで水源と成って居た泉よ」
そう告げた後に美月が指し示した先には、それまでと全く変わりのない、砂に覆われた少し広い目の広場が存在しているだけで有った。
風が吹き、砂塵が舞い、そして、生きる物の存在する雰囲気を感じる事がない、これまで進んで来たこのコミュニティの基本とまったく変わりない場所。
……………………。
いや、確かに彼女が指し示す先……。大体、広場の中心辺りには、少し大きい目の何かが存在している。
半ばまで砂に埋まり、ほとんど砂山と見分けが付かないながらも、確かに人工物と思しきその物体。
何か……。おそらく、女神か何かが壺か水がめを抱えた姿の彫刻。
「元々、ここには石造りの人工的な泉が有ったの。でも土地が死んだ時に、この泉も枯れて仕舞って」
そして、其処の中心に在る水の女神の彫刻から、地下から湧き出して来た水が流れ出すように成って居た、……と、美月はやや懐かしそうにそう話を締め括る。
その美月の言葉を聞いたハクが、少し何かを考えるような空白の後、
柏手をひとつ。
瞬間、周囲の邪気が払われる。神道の持つ、一切の邪気を払う禊の空間。ハクが如何なる神性を帯びる存在なのか、美月には未だ知らされては居ません。しかし、この禊の空間を一瞬に作り上げる以上、東洋系の神に繋がりを持つ存在なのだろう、とはおぼろげながらにでも、美月はそう理解していました。
そして、
「高天原に神留座す、皇親神漏岐神漏美の命を以て」
独特の韻を踏むように紡がれる祝詞。尚、この祝詞は、水源を清める際に唱えられる祝詞。
そして、その祝詞にまるで力を与えるかのように鳴らされる涼やかなる鈴の音。
その姿は聖にして清。もしかすると、このハクと言う名前の少女にならば、この大地に刻まれた呪いを祓う事が出来るかも知れない。そう美月に思わせるに相応しい雰囲気を、その瞬間の彼女は纏っていたのだ。
「和き水の甘き水の、清き水のさやけき水を」
朗々と続けられるハクの祝詞。そして、その祝詞に従うように、水の女神を象ったと思しき彫刻からは、僅かながらも、水を感じさせる雰囲気が発せられる。
これは、もしかすると……。
しかし……。
しかし、美月に僅かな希望と言う名の光明を抱かせたハクの祝詞が、その次の瞬間に突如、途絶えて仕舞った。
僅かばかりの水気と言う余韻のみを残して……。
そして、少し、小首を傾げるような仕草で美月を見つめるハク。僅かに曇った彼女の春の微笑みが、現在の
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