第108話:男2人
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る人間を知らない」
クロノさんはそう言うと、力強い目で俺を見据えた。
(ここらが限界かな・・・)
俺は天井仰ぎながら、大きなため息をひとつつくと、
クロノさんの方に目を向けた。
「・・・わかりましたよ。お受けします」
俺がそう言うと、クロノさんはホッとしたのか安堵の表情を見せた。
「そうか・・・。受けてくれてよかったよ」
クロノさんはそう言うと、手元のグラスをグイッとあおる。
「実際のところ、部隊編成にかかる時間もあるし、部隊の発足は
1年後くらいだろうだと思っていたんだ」
「な!? じゃあ、俺の妥協は意味ないじゃないですか!」
「結果的にはそうだな。でも、君の希望通りに休養期間はとれるだろう?」
「いやいや、もっと休めるなら休みたいですよ。
それに、1年じゃ学生の面倒を最後まで見れないじゃないですか」
「前線から離れたいから教官になるって言ってたやつがよく言うよ。
それに、ついさっき君は1年後の部隊長就任を了承しただろう?
まさかとは思うが、舌の根も乾かぬうちに発言をひっくり返すのか?」
「いえ・・・そんなつもりは・・・」
「なら、部隊長就任は内定だ。今後、部隊設立に先駆けていろいろと
動いてもらうことも出てくるからそのつもりでな」
「はあ・・・わかりました・・・」
満面の笑顔で言うクロノさんを見て、俺は内心で深い深いため息をついた。
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