第二幕その二
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
れで貴方は幸せになれるわ」
そして私もね、とまた心の中で呟く。
「いいかしら、それで」
「うん、うん」
彼は何度も強い調子で頷いた。
「じゃあ決まりね。先生には貴方から言えばいいわ」
「僕から?」
そういわれて急に弱い顔になった。
「何かあるの?」
「そんなこと言えたら最初からこんな気持ちにはならないよ」
彼は沈んだ顔と声でマジェンカに対してそう言った。
「僕はね、言えないんだ」
「あら」
「先生にも誰にも。これも凄く困っているんだ」
「そうね。じゃあ先生には私から言っておくわ」
「頼めるかな」
「任せて。私そうしたことは得意なんだから」
自分の為にも絶対に何とかしなければならないと固く思った。本音ではエゴだが今はそれは隠した。ヴァシェクを助けることが結果として自分自身を助けることになるとは皮肉なものだと思ってはいるが。
「それでいいわね」
「うん。お願いできるかな」
「任せて。それじゃあね」
「さよなら、親切な娘さん。君のことは忘れないよ」
「ありがと。それじゃあね」
別れながら悪い印象は受けなかった。あまり頭の回転は早くはないようだがどうにも悪い人物ではない。むしろ素朴で善良な人物だ。そんな若者を騙すのは気が引けるがここは自分の為であった。
(それが同時に彼の為でもあるなんて)
それが今一つわからなかったがここは動くことにした。何はともあれ自分自身の幸せの為であった。マジェンカは果敢に動くことにした。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ