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ファイアーエムブレム〜ユグドラル動乱時代に転生〜【外伝】
40.1話A
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「おなか、すかない?」
「すいたかも」
「トイレ行きたいのが本音だけどね」

 俺がそう言うと彼女は俺に絡めた足をほどいてくれて

「アタシもそうかも、起きよっか」
 
 一緒に起きて、じんわりとだるい胸が解放されたのが心地よく、彼女の温もりから身を離すのが少し寂しく、自分の身勝手さをつくづく思い知らされた。
 そんな気持ちが表情にあらわれていたのだろうか

「んー? どうしたんだい? なんだか寂しそうな顔しちゃって」

 素直に思ったことを彼女に告げたあと

「でも、ほんと、あなたには感謝してます。たくさんたくさんありがとう、ずっと仲良くさせてもらえたらこんな幸せなことはないです」
「……急に改まっちまってどうしたんだい」

 彼女は俺を抱き寄せて、俺はそれに素直に身を任せた。
 つけてからずいぶん時間が経ったからだろう、香水の香りがすっかり薄れた彼女から匂い立つ女独特のすこし甘く酸っぱい芳香と、寄せ合う感触にやられて、俺の男を主張する部分はたちまち熱く、固く、猛ってしまった。
 彼女はすぐに気がついてしまったけれど、俺は素早く彼女の腕から逃げ出して

「そういえばジャコバンさんが書類置いて行ったから目を通しておいてね、トイレ行ってから入り口で待ってるからごはんいこーね」

 何事も無かったかのように笑顔で彼女にそう告げると、そそくさと彼女の部屋から逃げ出した。



 レイミア傭兵隊のアジト入り口そばのロビーで彼女を待っていると、俺の姿をみつけたジャコバンがやってきた。
 俺の方から挨拶をして内容も何も無い世間話をし続けた。

「……姐さんは不眠症なのか知らんが眠りが浅くてな、あんなにぐっすり寝ることもあるんだな」

 会話が途切れて先程の話を持ち出されてしまった。

「そうなのですか……まぁ、わたしのことなど男と思ってないから警戒してないんでしょう」

 敵意など一切無いと思ってもらえるような笑顔を浮かべてそう言ったつもりだった。

「あんたは姐さんにとっては特別なんだぜ、妬けちまうなぁ」

 ジャコバンは真顔でそう告げた。

「姐さんの寝込みを狙った奴はぶっ殺されるか、手下になるか、そのどっちかだったのになぁ」

 自分の両膝をばしっと叩いてから立ちあがると彼はそう言って立ち去った。





 身支度を整えた彼女とアジトを出てしばらく行くと、すこしこざっぱりした傭兵らしい男が話しかけてきた。

「これはこれは今をときめくマディノの英雄レイミア隊の隊長様じゃありませんかー」

 口角をイヤミったらしく吊りあげて両手を開いてから右手を左肩に当てて大仰な礼をしてくる。

「あー、どうも。 悪いけどアンタんとこの大将にも声はしっかり
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