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男女美醜の反転した世界にて
プロローグ
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無論、全く連絡を取り合っていなかったということではない。でも精々、仕送りを無駄遣いしていないかとか、学期の変わり目に成績についてちくちくとお小言を呟かれるくらいだ。
 連絡が欲しいとのことだけど。大した用件でもなさそうだし、面倒なので明日にしよう。 
 そのままリビングへ。
 朝、慌てて家を飛び出した時のまま、微妙に散らかっているテーブル周りが気になる。

「あーもう、こんなところにパジャマ脱ぎ散らかして。だらしないなぁ」

 我ながら、いろんな意味で寂しいヤツだと思わなくもない。
 なんだかどんどん気分が沈んでくるぞ、どうしよう。

「寂しくないぞ、楽しいぜ」

 口に出して言ってみたけど、逆効果だった。

「……腹減った」

 パジャマを洗濯機に放り込んでから、再びリビングへ。夕飯の準備に取り掛かろう。 
 まずはテレビを点ける。僕は別段テレビっ子というわけではなく、むしろあまり見ない方なのだけど。
 無音で夕餉(一人前)の支度をしていると、食材と間違えて手首を切ってしまいそうになるくらい気分が落ち込んでしまうので、テレビは必須なのだ。
 液晶の向こうでは、夕方のニュースがやっていた。

『――……で有名な男優、ジェームス・ジャクソンが、カタール人の大富豪と極秘結婚を済ませていたことが判明し、話題を呼んでいます』

 男性のアナウンサーが原稿を読み上げていた。
 何処の誰が結婚したっていいじゃないか。
 あまり興味がない。というかぶっちゃけ、テレビで何をやっていようと興味が惹かれることは少ない。BGMにさえなってくれればいいのだ。

「今日の献立は、生ハムと菜の花でちらし寿司といこう」

 めでたいことがあったわけじゃないけれど。冷蔵庫の中身と相談したらこうなった。
 一人暮らしながらに、食事だけはある程度こだわっている。たまにインスタント食品やコンビニ弁当に浮気することはあるけれど、基本的にはきっちり自分で作る。
 食費を抑えるという意味もあるし、何よりまずい飯は食べたくないのです。  
 時間がたって固くなったごはんも、レンジでチンして酢と混ぜれば多少はマシになるだろう。ちなみに、ちゃんとレンジで熱さないと酢に臭いがちゃんと飛ばせなくてよくなかったりする。どうでもいいね。
 冷凍してしまえば一晩くらいまでは持つだろうし、では早速、

「レッツ、クッキング」

 
 ◇


「いただきます」

 今日のメニューは、菜の花と豆腐の味噌汁に、菜の花ちらし寿司。惣菜として菜の花のおひたしも追加。
 なんという菜の花ずくし。この時期は安いから、買いこんでしまったのです。

「うん、うまい」

 それなりに満足の出来栄え。だけどやっぱり、ちょっとだけご飯が固い。今度は
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