第二部
病院にて
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
建物は吹き飛ばされ、コンクリートや鉄は溶けて、海には沢山の生物の死骸が浮かんでいた。・・・それはまさに、地獄のような光景。
だが、彼女の目を引いたのは、その中のどれでもない、たった一つの光景だった。
「確かにあの時、貴方は気を失っていた筈よ。いいえ、それどころか、死んでいても可笑しくない状態だった!動けるような体じゃなかったでしょ!?・・・それなのに・・・・・・。」
両手を広げて。二本の足で、シッカリと大地を踏みしめて。彼の背後で泣き崩れていた銀髪の少女を守るように、彼は立っていたのだ。立ちながら、気絶していた。血は殆ど流れていなかった。何故なら、全身が焼け爛れていたから。神経や血管も焼かれているのが、一目見て分かる。死ぬ一歩手前、そんな状態だった。
(貴方は、何なのよ・・・!)
その姿を見て、彼女の胸がズキンと傷んだ。今までに感じたことのない感覚。原因不明のその痛みが、彼女を襲ったのだ。
泣き崩れていた少女に聞くと、彼は、神の前に立ち塞がったのだという。少女を守るために。意識すらもない状態で、彼は彼女を守ったのだと。
「何が、貴方をそこまでさせるのよ・・・。」
不甲斐ない自分への苛立ちと、理解できない人間へ対する混乱。彼女は、先程出会ったばかりの護堂の顔を、泣きながら見つめるしか出来なかった。
ボッ!
周りを観察出来る精神状態ではない彼女には、彼の枕元に置かれている古い石版が、薄く光を放っている事に気がつく事が出来なかった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ