第一幕その二
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」
「はい」
二人は頷いた。そして広場にやって来た。
「今日娘はこの教会へ行っておりました」
「はい」
「まずはどんな娘か御覧頂きたいのですが」
「いや、それには及びません」
だがケツァルは胸を張って笑ってそう答えた。
「娘さんは十八でしたな、今年で」
「はい」
「それならば問題はなしです。女の子はその年頃が一番可愛い」
どうやら色々と見てきたようである。少なくともそうは見える。
「ですから容姿は問題なし。性格は御聞きするところによると非常に素晴らしい」
「有り難うございます」
「それだけ揃えば良縁は自分の方からやって来ます。さて、花婿ですが」
「はい」
実はそれが最大の心配事である。二人はゴクリ、と息を飲んだ。
「ミーハさんを御存知ですね」
「はい」
村で一番の長者である。
「その方のご子息がそのお相手です」
「何と」
二人はそれを聞いて同時に驚きの声をあげた。
「それは本当ですか!?」
「はい」
やはり胸を張ってそう答える。
「どうですかな、いいお話でしょう」
「ええ」
「それをまとめるのが私です」
そしてあらためてこう語った。
「確かあの人には息子さんが二人いましたね」
クルシナがここで言った。
「前の奥さんと今の奥さんの間にそれぞれ」
「あれっ、そうですか!?」
ケツァルはそれを聞いて少し驚いたようであった。
「それは初耳ですが」
「そうなのですか」
「ええ」
素っ頓狂な顔にも見える。丸い目をさらに丸くさせたからだ。
「一人だけだと思っておりましたが」
「あれっ、そうだったかな」
今度はクルシナが首を傾げた。
「二人いた筈ですが」
「私が知っているのは一人です」
ケツァルはそう述べた。
「もう一人いたのですか。しかし今は一人」
「それでどんな若者ですか」
「名前は」
「ヴァシェクといいます」
「ヴァシェク」
「はい。気のいい若者ですよ。純朴で」
それは本当のことであった。だが全てを言ったわけではなかった。
「それについてもご安心下さい」
「わかりました」
二人はそれを聞いてとりあえずはホッとした。
「お金持ちで性格もよいなんてそうそうおりませんよ」
「そうですね」
「あなた、中々いいお話よ」
ルドミラが夫にそう囁く。
「やっぱりこれでいいんじゃないかしら」
「そうだな」
クルシナもそれに頷く。
「じゃあ後はお約束通りケツァルさんにお任せするということで」
「はい」
満足そうに頷いた。そして酒屋の扉の前に座るマジェンカに気付いた。
「あ、マジェンカ」
クルシナとルドミラがまず気付いた。そしてケツァルに紹介する。
「あそこに座っているのが娘です」
「ほう」
ケツァルは彼女を見て
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