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売られた花嫁
第三幕その五
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ことで聞いたことは他にないかい?」
「他にですか」
「そうだ。覚えているかな、何か」
「ええと」
 そう問われて考え込んだ。必死に思い出していた。
「確か」
「確か?」
「僕のお兄さんがいたとか」
「えっ!?」
 それを聞いたケツァルが驚きの声をあげた。
「そんなことは聞いてはいないぞ」
「それは貴方の落ち度ですよ」
 イェニークはやんわりとそう答えた。
「ちゃんと調べておくべきでしたね」
「何と。それは嘘だと思っていたのに」
「それでヴァシェク君」
「はい」
「そのお兄さんはどうなったかは聞いているかな」
「そうですね」
 彼はまた考え込みながらそれに答えた。
「確か死んだとか。流行り病で」
「そう聞いたんだね」
「はい」
「けれどそれは嘘だ」
「えっ!?」
「彼、君のお兄さんは死んではいないんだ」
「そうなんですか」
「何でそれを知っているのかね!?」
 ケツァルが不安を抑えきれずイェニークにそう問うてきた。

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