暁 〜小説投稿サイト〜
DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一〜四章
二章 やんちゃ王子の観光
2-19筋肉と弓
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「きゃー!変態よー!」
「アリーナ王子様ー!頑張ってー!」
「むさい男は、いやー!」

 筋肉ダルマは、会場を完全に敵に回している。
 何か、申し訳ない。

 筋肉ダルマが叫ぶ。

「くそっ。王子だからって調子に乗りやがってっ。だが勝てば、モニカ姫はオレの嫁だ!オレの幸せのために、踏み台になれ!」

 ()()になるのもわかるが、八つ当たりはやめてほしい。
 そして、踏み台にはならない。

 国王が高らかに宣言する。

「では、試合開始じゃ!」

 開始と同時に、筋肉ダルマが走り出す。
 だが、遅い。
 無駄な筋肉の付け過ぎだ。

 どすどすと走る筋肉ダルマを待たず、こちらから距離を詰め、態勢を低くして足を払う。
 転んだ筋肉ダルマの喉元に、鉄の爪を突き付ける。

 筋肉ダルマが唸るように呟く。

「……参った。」

 国王が宣言する。

「勝者!アリーナ王子!」

 歓声が起きる。

「きゃー!アリーナ王子様、素敵ー!」
「変態は絶滅しろー!」
「正義は勝つ!」

 色々おかしい。

 筋肉ダルマは、泣きながら会場を出て行く。

「ううっ、オレの嫁が。幸せな、結婚生活が。」

 本当に申し訳ないが、仕方が無い。

 係の兵士が言う。

「アリーナ王子様、ひとり勝ち抜き!次の対戦前に、薬草が使えますが」

「大丈夫だ」

 兵士が国王に合図を送り、国王が声を張り上げる。

「では、次!アリーナ王子の二回戦の相手!ラゴスよ、これへ!」


 次に入って来たのは、弓使いの男だった。

 見た目は、普通だ。
 これといって特徴が無い。

 観客が感想を漏らす。

「普通だ」
「普通ね」
「アリーナ様ー!そんな普通なヤツ、さっさとやっつけちゃってー!」

 うん、普通だよな。

 弓使いが涙目で叫ぶ。

「普通っていうな!普通の何が悪い!そりゃあ、王子様なら特別だよな!いいよな、王子様は!」

 普通と思って悪かったが、ほぼ八つ当たりなのでやめてほしい。

「だが、普通な人生も、今日で終わりだ。勝って特別な姫様の、特別な男になってやる!俺の矢の(さび)になれ!」

 何か宣言しなければならない決まりでもあったのだろうか。
 言われてないから良いか。
 錆にはならない。

「では、試合開始じゃ!」

 国王の宣言が終わるとほぼ同時、弓使いが矢を放つ。
 避けずにまっすぐ走り寄り、鉄の爪で矢を払う。

 弓使いは二の矢を(つが)えようとするが、こちらが早い。
 鉄の爪を振るい、避けようとした先に足を入れて転ばせる。

 弓を踏みつけ、首筋に鉄の爪を突き付ける。

 弓使いが悔
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ