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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一〜四章
二章 やんちゃ王子の観光
2-19筋肉と弓
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「きゃー!変態よー!」
「アリーナ王子様ー!頑張ってー!」
「むさい男は、いやー!」
筋肉ダルマは、会場を完全に敵に回している。
何か、申し訳ない。
筋肉ダルマが叫ぶ。
「くそっ。王子だからって調子に乗りやがってっ。だが勝てば、モニカ姫はオレの嫁だ!オレの幸せのために、踏み台になれ!」
自
(
や
)
棄
(
け
)
になるのもわかるが、八つ当たりはやめてほしい。
そして、踏み台にはならない。
国王が高らかに宣言する。
「では、試合開始じゃ!」
開始と同時に、筋肉ダルマが走り出す。
だが、遅い。
無駄な筋肉の付け過ぎだ。
どすどすと走る筋肉ダルマを待たず、こちらから距離を詰め、態勢を低くして足を払う。
転んだ筋肉ダルマの喉元に、鉄の爪を突き付ける。
筋肉ダルマが唸るように呟く。
「……参った。」
国王が宣言する。
「勝者!アリーナ王子!」
歓声が起きる。
「きゃー!アリーナ王子様、素敵ー!」
「変態は絶滅しろー!」
「正義は勝つ!」
色々おかしい。
筋肉ダルマは、泣きながら会場を出て行く。
「ううっ、オレの嫁が。幸せな、結婚生活が。」
本当に申し訳ないが、仕方が無い。
係の兵士が言う。
「アリーナ王子様、ひとり勝ち抜き!次の対戦前に、薬草が使えますが」
「大丈夫だ」
兵士が国王に合図を送り、国王が声を張り上げる。
「では、次!アリーナ王子の二回戦の相手!ラゴスよ、これへ!」
次に入って来たのは、弓使いの男だった。
見た目は、普通だ。
これといって特徴が無い。
観客が感想を漏らす。
「普通だ」
「普通ね」
「アリーナ様ー!そんな普通なヤツ、さっさとやっつけちゃってー!」
うん、普通だよな。
弓使いが涙目で叫ぶ。
「普通っていうな!普通の何が悪い!そりゃあ、王子様なら特別だよな!いいよな、王子様は!」
普通と思って悪かったが、ほぼ八つ当たりなのでやめてほしい。
「だが、普通な人生も、今日で終わりだ。勝って特別な姫様の、特別な男になってやる!俺の矢の
錆
(
さび
)
になれ!」
何か宣言しなければならない決まりでもあったのだろうか。
言われてないから良いか。
錆にはならない。
「では、試合開始じゃ!」
国王の宣言が終わるとほぼ同時、弓使いが矢を放つ。
避けずにまっすぐ走り寄り、鉄の爪で矢を払う。
弓使いは二の矢を
番
(
つが
)
えようとするが、こちらが早い。
鉄の爪を振るい、避けようとした先に足を入れて転ばせる。
弓を踏みつけ、首筋に鉄の爪を突き付ける。
弓使いが悔
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