暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Online-The:World
#05 乱刃(らんが)
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か………だが!
十分。ようはボスの攻撃を“出させてしまえば”こちらの勝ちだ。
たった数秒。たった数秒間ボスになにもさせなければ、こちらの勝ちだ。カイトはディアベルが作ってくれたこの一瞬の為に、前に出ていた。ディアベルは、この一瞬の為にわざと攻撃を受けに出た。そしてその瞬間は訪れた。腕を背面に突出する翼のように構え、全速力で突っ込む。ボスの標的が自分に移るがもう遅い、野太刀を掲げた瞬間には、カイトはボスの懐に立ち入り、

無限操武(むげんそうぶ)!」

軌道や型など微塵もない、ただの乱斬り。雄叫びと共に、両の腕は無造作にボスの胴を斬りつける。連撃数にして十二撃、止めの二撃は跳躍しての十字斬り。着地と同時に、ボスの最後の咆哮が木霊し、そのボディはエフェクトによって粉々に砕け散った。
ガラスのように散った後に、ボスフロアの明るさが消える。全員の視界の中に『Congratulation!』の表示、そしてカイトの視界には『Last Attack Bonus』の表記が現れた。そう、たった今を以って第一層はクリアされたのだ。それを理解した瞬間、フロアにいる全員が歓喜の鬨を上げた。
部屋が震えるほどの声。誰もが武器を掲げて喜びを叫ぶ中、カイト達は武器を納めてそのまま第二層への転移門を目指して足を進める。元々こういうつもりで、三人は此処に来ていた。ボスの攻略にのみ顔を出し、それ以外は完全な独立した一団として攻略を進める。それがおそらく最善だと、三人は理解し納得していた。

「待ってくれ」

しかし、彼はやはりそんな三人に声をかけて来た。
言いたい事も分かる。しかし、それに乗る訳にはいかない。これ以上関われば、必ず自分達が混乱の火種となるのは明白。そうなる前に、そうならない様に三人は人と距離を置くべきとした。だが彼は、

「…………また、一緒に戦おう」

カイト達の意思を察したのか、数秒の空白の後に彼は“また”と言って、それ以上はなにも言わなかった。
カイトとハセヲは、思わず笑ってしまった。また、という言葉を聴けるとは、思っていなかったから。そんな二人に釣られて、本来は無関係なベンケイも思わず口角を吊り上げて爽快な笑みを浮かべていた。結局のところ、自分達の不安や苦悩は杞憂であったのかもしれない、そう思えた。
カイトは足を止め、フロアにいる一人のプレイヤーに歩み寄る。このボス戦を見ていた時から、ずっと目をつけていたプレイヤーだ。動きも悪くない、勘もいい、それに彼はディアベルと同じでこのゲームを“よく知ってる”。だからと言わんばかりに、カイトは彼の前に立ち、アイテムスロットから一つの装備を譲渡した。
『コート・オブ・ミッドナイト』――――第一層ボス攻略、そのラストアタックボーナスの防具。

「君にあげるよ」

「えっ、いや、でも……
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