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Sword Art Online-The:World
#05 乱刃(らんが)
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る隙など何処にあるというのだ。
たった三人で行われる戦闘は、完全に統制されたもの。一縷の隙もなく、一部の矛盾もなく、一瞬の無駄もない行動。攻め、守り、避け、止め、斬り、刺し、貫き、抉り、刻む。既に最終ラインまで減っていたライフバーは、たった三人に数分で残り半分を越えようとしている。
…………まぁ、別に辛くはないかな。覚悟してきてよかったよ。
あの目は、異質なものを見る目だ。一般プレイヤーである彼らにとって、僕達はただの異端だ。
仕様外のスタイルを行使し、まるで情報を先に仕入れていたかのように行動に一切の無駄がなく、ダメージも一切受けない。これではただの
改造
(
チート
)
と変わらない。いや、それならまだマシだ。彼らのそれは、製作者が悪戯な贔屓で与えた“猛毒”だ。己には百薬、しかし周囲には猛毒を撒き散らす悪性の代物。
茅場はこう言いたかったんだろう。『それでも、なお前に進む覚悟はあるか』と。ならばこう答えよう。
「僕らは、最初から前しか見てないんだよッ!!!」
振り下ろす野太刀を、逆手の双剣を十字に薙いで弾き返す。
あとはハセヲ達が仕留める、そう思っていた筈なのに、その刃は意外な方向から敵へと向かっていった。
カイトの背後、つまりプレイヤー集団のいる方向。数は四、いずれもカイトの脇を抜けてボスへと切り込んでいく。褐色の巨躯、ローブを纏った痩躯のプレイヤー、黒と紺の少年、そして青い騎士は、
「攻撃隊、俺に続けぇぇぇぇえええええええッッッ!!!!!!」
ただ一人孤独な雄叫び。しかし、それと同時に三人が前に出る。
後方に控える者達は、それを目の当たりにして動かずにはいられない。一人、また一人と一歩前に出て行く。
一人が
鬨
(
とき
)
を上げ、また一人、また一人と鬨の声を張り上げる。瞬く間にそれは轟音の濁流となってボスへと向かい、ボスの周囲はプレイヤーに囲まれていた。
…………うん、やっぱり“ゲーム”はこうでなくっちゃ。
皆で共通の楽しみを分かち合う。同じ世界で、違うものを見る楽しみ。
カイトは、コレが命がけの戦いだということも忘れ、心底このゲームを楽しんでいた。死ぬ事が怖くないわけではない、ただ今は“死ぬ”という結果よりも“楽しむ”という過程を喜んでいる。狂人、狂奔、狂騒、現実に戻った時に一般人に戻れるかが心配にもなる。あぁ、僕殺人事件とか起こしたりしないよね、うん大丈夫。
「囲んで攻撃を絶やすな! 体力はもう残り少ない、防御と攻撃二人一組で攻め続けろ! 反撃の隙を与えるな!」
二人一組、盾持ちと剣士のペアで絶えずボスを攻撃。反撃の際には周辺の盾持ちが固まって攻撃をガード、技後硬直を狙ってさらに追撃、あとはこれの繰り返し。HP最終バー、残り三割といったところ。
最初に突出した三人は、他のプレイヤーと比べれば確かに実
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