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Sword Art Online-The:World
#05 乱刃(らんが)
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下ろしてきた。
ボスが動き回る間、会とは一切動かずに視線だけでそれを追い、天井から地上の自分に照準を定めた瞬間、会とは俺の首根っこを掴んで走る勢いで後退する。しかし、敵の追撃はまだ終わらない。振り下ろした野太刀を、今度は刃を返し横に逃げた自分達の方へと振り払う。バッターのスイングのような一撃だ。
正面しか見ていないカイトにはその攻撃は見えないが、首を掴まれている俺の視界には攻撃がはっきりと見えていた。このままだと、追撃を食らって二人とも死んでしまう。それは避けなくてはならない。
…………俺が盾になれば、せめて彼だけでも!
そう思い、首を掴む彼の手を振りほどこうとする。しかしその際に、俺は見た。今まさに死に直面しているというのに、彼の表情には恐怖や焦り、まして緊張など全く無い。そこには、喜びに高揚する少年のような笑顔があった。一瞬だが呆気に取られてしまい、攻撃をよけるタイミングは既に過ぎていた。だが次の瞬間、

「「ぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!!!」」

再び門の方向から、二つの影がボスに向かって走ってくる。
速い。どう立ち回ろうとか、何処から攻撃しようとか、そんなことなど微塵も考慮していない走り方。ボスを中心に、左に走る銀髪の男の手には長剣、右に走る男には穂先の長い木製の槍。
前方から突撃する二人の反応にボスが攻撃を中断、おそらく攻撃してくる対象を優先的に迎撃するようになっているのか、ボスは確実に仕留められる俺達よりも向かってくる二人を視界に捉えた。横に振り払った野太刀を掲げなおし、攻撃態勢に移る。しかし遅い。
振り下ろそうとした時には二人は既にボスの懐に入り、その胴体へ刃を斬り込ませ、疾走の勢いでそのまま両の脇腹を一閃する。同時に俺とカイトは離脱に成功、ダメージによるボスの叫びが響き渡り、かくして俺は救われた。ゲームの主人公のような男に、絵空物語のように。ボスの背後に立つ二人は武器を肩に担ぎ、カイトは双剣を逆手に握りなおす。
…………は、ははは。俺は、生きてるのか……助けられた事よりも、自分が生きてる事に俺は喜んでるのか……笑えるぐらいに利己的だな、俺ってヤツは。

「………どうして此処に?」

「うん? いや、ちょっと……」

ボスは、カイトを第一目標として捉えたようだ。
カイトもそれを理解し、即座に前に出る。

「もう一回、世界を救ってみようかと思っただけさ」






  ×      ×





間に合った。かろうじて、と言ったところだ。
三人はあの直後から全速力で街を抜け、そのスピードをキープしたままダンジョン、森、迷宮区とを抜けて此処まで辿り着いたのだ。速度主体であるカイトは勿論、スピードタイプであるベンケイ、そして衣服以外の装備の一切を“外し
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