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Sword Art Online-The:World
#05 乱刃(らんが)
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――――正直なところをいえば、期待していた。
ピンチになれば、アニメやゲームのように突如として謎のキャラクターが登場して、颯爽と助けてくれる。そして敵を見事に倒し、新たに仲間となって最後のボスを倒す、そんな理想を夢見ていた。
こんなゲームの世界でなら、そういう人間が一人は居てくれてもいいんじゃないかと、そんな甘えを抱いていた。
だが、結局のところそれは理想でしかない。ならば、自分がその理想になるしかない。
「皆下がれ、俺が出る!」
手に取った剣は、ひどく汚れたものだった。
βテスターという優位を振るい、ボスの討伐も攻撃が分かりきっている相手ならそれほど恐れることは無い。ラストアタックを決めて、ボーナスアイテムを入手し、その理想へと一歩近づく。そして、己がその理想になる。
理想となり、人々を束ね、一刻も早く現実へと戻る。そのためならどんな手も、どんな方法も使う。それで誰かが救われるなら、汚れ役など俺が一手に引き受けよう。しかし、そんな決意を抱いても、願わずにはいられない。そんな俺を、誰かが救ってくれるという夢を。
「全力で後ろへ飛べェッッッ!!!」
誰かが叫んだが、もう遅い。
小汚く小奇麗な夢への罰だろう。ボスのモーションが変わっているのに気づいたのは、俺が攻撃に入ろうとした直後のことだ。タルワールでは無く、野太刀。βの頃とは違う装備。当然だ、全てがβの時と同じなわけが無い。地を蹴り、柱を跳ね、宙高く飛び上がり、野太刀を振り下ろす。
…………ああ、終わったかな。
逆に諦めがついた。死ぬと分かった瞬間というのは、こうも胸が軽いものなのか。
剣を取る手から力が抜けていく。立とうとする足が膝から崩れていく。目を閉じる瞬間に、咆哮と共に野太刀は俺へと振り下ろされ、
ガッギィィィイイイインッッッ!!! と、“野太刀を遮る金属音”が響いた。
俺の体は力なく背中から地面に倒れ、目を開ければそこには、今朝の少年がいた。
いや、青年だったか。水色の髪に、少し小柄な身長、おそらくこの階層で最も高価な装備、そして、
…………二刀、流?
短剣を二本、コンバットナイフよりも少し長い程度の剣だが、確実に彼は剣を二刀装備している。仕様外、規格外の二刀流装備。βテストの頃にも存在しなかった、情報すら出ていない二刀流装備。額の辺りに剣を重ね、ボスの野太刀を見事に受け止めていた。
「…………カイト?」
「やぁディアベル。なんだか随分と弱ってるけど、大丈夫?」
「君は一体……」
『GRUOOOOOOHHHHHHHHHHH!!!』
ボス、『イルファング・ザ・コボルド・ロード』は咆哮を上げると、再度跳躍し柱と内壁、そして天井を縦横無尽に飛び回り、再びカイトにめがけて野太刀を叩き
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