SAO編−白百合の刃−
SAO6-兄妹の刃舞
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て利用された。現実世界があったように、アインクラッドの世界も、また現実の世界にさせたんだって萱場晶彦の思惑を推測したところで何も戻ってはこない。何も帰ってはこない。
なんで私、こんなことしているんだろうって投げ出したい時もあった。
だけど、戻ってくるものは永遠に来ない。過去に戻るなんて絶対にできはしない。
だから前を向く。辛くても、苦しくても、悲しくても前を向いて歩く。
なんでこうなったかも、なんでゲームから出られないのも、なんでゲームなのに本当に死ななきゃいけないなのかも、萱場晶彦がなにをしようと考えても、私は前を向いて歩く。
生きている限り、前を向いて歩き、そして必ず帰るんだ。私の家に。
「アアァァァァッ!!」
お願い…………間に合って!
「っ!」
大剣が振り下ろされたけど。
「ま、間に合ったっ……!」
ドウセツに当たる直前で、カタナで受け止めることに成功。ギリギリ間に合わせることができた。諦めないで、必死になってよかった。
「だ、大丈夫、ドウセツ……」
「キリカ……」
ホッとしたのも束の間。『グリームアイズ』は強引に斬り下ろし力ずくで突破しようとしていた。
私のカタナは耐久がそんなにないから、あと少しで折られてしまうだろう。でも、私には絶対回避が……絶対回避?
ハッ!
そうだ。そうじゃない。ここで私が避けたら……。
「うわあっ」
『グリームアイズ』が最後の踏ん張りに怒号を上げる。そして怒号によって力いっぱいに込めた斬馬刀の圧を耐えられず、とうとう私のカタナは折れてしまった。
当たる。重い一撃が……。
普通に避けることなんてできないが、ここで絶対回避を使えばダメージを受けずに回避ができる。
絶対回避、発動……。
……なんてね。
「ぐはっ!」
私は絶対回避を使用せず、『グリームアイズ』の重い一撃を食らい、HPバーがグイっと減少した。
私も兄もドウセツも装備とスキル構成は壁使用ではなく攻撃特化仕様になっている。このまま追撃されると、マジでヤバいな。
死の恐怖。
救えなかった恐怖。
回りの人が急にいなくなる恐怖。
何回戦闘しても恐怖に慣れたことなんてない。
それでも私は……。
「キリカ!」
挫けるわけにはいかない。まだ命はある。
「ドウセツ、奥に一時避難!」
ちらっと『グリームアイズ』の周辺を見たら、アスナに続き兄、クラインが駆けつけるのが視界に入った。だから私は、一時的に彼女達に時間稼ぎをしてもらうべく、ドウセツと共に奥に避難する。
少人数で、すでに三人亡くなられているから、最悪な可能性、アスナも兄もクライン達も消滅してしまうん
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