SAO編−白百合の刃−
SAO6-兄妹の刃舞
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わぁぁあぁぁっ!」
『グリームアイズ』に薙ぎ払われた『軍』の一人が、床に激しく転がり、HPが赤い危険域に突入していた。
すぐに離脱するべきだ、あるいはクリスタルを使って帰還した方がいい。
しかし、離脱は軍と私達のいる入り口との間に、悪魔が陣取ってしまっているため離脱は難しい。それなら選択は一つしかない。
「何をしている! 早く転移アイテムを使え!」
到着した兄はすぐに状況を理解し、倒れた軍のプレイヤーに向かって提案を伝える。提案というよりは命令に近い。そうじゃないと、確実に死ぬ。
だが、軍の一人はこちらに顔を向けると、青白い炎に照らされた表現は絶望を露わしていた。
それと同時に、『軍』のだれかが、最悪の想定が確信へと変わる叫びをした。
「だ、だめだ……っ! く、クリスタルが……クリスタルが使えない!!」
「なっ……」
兄は絶句した。そして私もアスナも、冷静な態度を取るドウセツも内心では絶句しているだろう。
こんな状況で嘘つく度胸があるとは思えないし、嘘をつく余裕なんてない。だったら、『軍』の誰かが言った通り、この部屋はクリスタルが使えない『結晶無効空間』と言うことになる。迷宮区で稀に見られるトラップ。だけど……。
「そ、そんな! ボス部屋が『結晶無効空間』になったことなんて今まで無かったのに……」
そう、アスナが言った通り、今までそんなことはなかった。
ここに来て、新たな条件を与えたのか、萱場晶彦!
そんなことを思っていると、悪魔の向こう側で一人のプレイヤーが剣を高く掲げ、怒号を上げた。
「何を言うか……っ! 我々解放軍に撤退の二文字はあり得ない! 戦え! 戦うんだ!」
『軍』の指揮をするように言うプレイヤーが、コーバッツ中佐なのか。彼は不利な状況でも、敗北の文字だけは許されないプライドなのか? あるいは中佐としての使命を貫き通したいのか?
だけどその怒号は……。
「馬鹿野郎……っ!」
そう、兄の言う通りそれは馬鹿で間違っている!
結晶無効空間で二人いないなら、それは消滅、死んだと言うことだ。
不利な状況でもなんでもない。こんなの、ボスからしたら消化試合にもありすぎる。転移結晶が使えなくて、ボスのHPは僅かしか減ってない。そのうえ、二人が死亡している状態で勝つことなんて不可能だ。
事実上、『軍』は敗北。
だけど、まだ生きているんだ。こんなところで死んでいいはずはない。
「コーバッツ!」
私も思わず叫んでしまう。それを心にしまわず、留《とど》まることはできなかった。
「今やるべきことが中佐としての使命? プライド? 攻略? そうじゃないでしょ! 今は逃げるべきなのよ! 死んだら全て終わるん
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