第1話 「舞い降りた少女」
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、周囲を翔る光点が二つ見えた。
挙げ句の果てには、空中で爆発までしている。
「おかしいわ。仮に私がアレに巻き込まれていたとして、この世界には魔術が無い筈。どういう事?」
視力を魔力で水増しし、当該空間を見据える。
ますますアイツみたいだ、と思いながら、強化により鮮明になっていく視界の先を睨む。
そこには、珍妙な光景が広がっていた。
光点の片割れ―――――さながら雷を手にしている様に錯覚させる光輝く大鎌。
それを手にする、かなり際どい服を着た少女。
いくらマントが有るとはいえ、アレって一歩間違えたら犯罪モノだと思う。
もう一つの光点はいくらかマシ……とは言え、物騒である事に変わりはない。
真紅の衣を纏った少女。
こちらは、何を壊すのか用途が分からないハンマーを振るっている。
あろう事か、この両者は空を飛び回って戦闘しているらしい。
そう、幼き子どもの憧れである『魔法少女』が具現したかの如く。
「頭が痛くなってくるわね……全く」
あの様な年端もいかない少女達が、雷を飛ばし、空を舞う。
協会に知らせれば、意気揚々と確保するであろう存在だ。
当然、私自身も興味が無いと言えば嘘になる。
「ま、今は諦めるしかないか。やる事は山積みかもしれないし」
そう、今は他にやる事が有る。
現状の確認、拠点の確保、士郎の捜索―――、全く大忙しだ。
下着を履き直し、服の袖を引き裂く。
急場凌ぎだが仕方がない。
下着ごとスカートを袖で腰にキツく巻きつける。
これで、暫くは保ってくれる筈だ。
「後で服を探さないと……」
踵を返して、ビルの昇降口に向き直すとそこには鎧を纏った女性が立っていた。
外人なのだろう、とても整った面立ちをしている。
モデルをしていると言っても通じそうな人だ。
だが、鎧のデザインとは裏腹、不思議な長剣が右手には握られている。
機械と剣が絶妙なバランスで調和した優美なデザインだった。
士郎が見れば、さぞや喜ぶ事だろう。
視線だけで相手を圧倒しそうな鋭い目に、私の身体は意図せぬ所で臨戦態勢を取っていた。
しかし、さっきから物騒な物ばかり見ている。
まるで戦争でも起こっているかの様な世界ね。
だが、この少女と化してしまった彼女も物騒な世界で、命のやり取りを行っていた事実がある。
故に全く人の事を言えないのだが、だからこそ少女には分かっていた。
――――この女は危険だ。
互いに相手を警戒しながら立ち尽くす。
「シャマル、私だ。かなり大きい反応を発見した。やり過ぎない程度に頼む」
先に口を開いたのは女性の方だった。
だが、それは私に向けられた言葉ではないらしい。
これだけ相手を威嚇しておいて、失礼な奴だ。
仕方がないので、私から動いてやろう。
「反応?
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