暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epic2君が差し出す手は私の心を惑わせる〜Reverse:The SuN〜
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私の目を覗きこみ、髪や手に触れながら心底驚愕と言った感じで声を荒げるはやて。入店してからずっと目を引いていた私の容姿だが、今のはやての大声でさらに視線を集めることに。籠の取っ手を前腕に提げ、車椅子のグリップを握って押し、その場から即時撤退。
いきなりの急発進ではやては「おわっ?」と身を竦ませたが、元凶は君だから謝らないぞ。店の奥、精肉コーナーへと来た。「おお、面白かったわぁ」とはやてが感嘆の声を漏らす。こちらとしては面白くはないんだが。「ほら、買い物を続けよう、はやて」そう言ってやる。

「もう一度確認するけど、ホンマに男の子なん?」

「本当に男だよ。あ、もしかして女の子と思っから私の提案を呑んでくれたのか・・・? もし嫌だったらこのまま去るけど・・・」

「あ、ううん。ルシリオンちゃ――やなくて、ルシリオン君が男の子でも構わへんよ。わたし、同い年くらいの子とあんまりお話したことあらへんから・・・こうして一緒に買い物出来て、すごく嬉しい」

本心からそう言っているのが判るほどにはやての表情には寂しさが溢れていた。下手にはやての事情に踏み込むつもりはないため、「そうか」と短く応じておく。それからはやてと目玉焼きには何を掛けるか、好物は何か、などなど、料理関係の他愛のない話をしながら店内を回る。これが結構楽しい。そう、買い物をするというよりは話だけをしているという状況だ。

「――なあ、ルシリオン君。わたしのこと、なんも訊かへんの・・・?」

ふと、はやてが突然そんなことを言ってきた。車椅子の少女が1人で買い物。確かにこの状況を傍から見れば気になって、家族のことを訊いてしまうかもしれないな。しかし私ははやての家庭の事情を知ってしまっている。だから訊かなかった。それ以前に、

「私は会って間もない子の家庭事情に踏み込むような礼儀知らずじゃないから。まぁ、独り言として聞こえて来たなら仕方ないけどね」

いきなり事情を訊くような奴はどうかしている。心配なら様子を見、困っているようなら協力を申し出、了承なら手を貸し、用が済めば早々に去る。拒否なら、これまた去ればいい。それが最善なはずだ。興味心から下手に事情を訊いて、そして同情するなんてド級の阿呆のすることだ。

「・・・あはは。そうか。・・・それにしてもやっぱり女の子みたいやよ? その喋り方やったら」

「むぅ・・・変えた方が好いか・・・?」

「う〜ん・・・でも、違和感が無さ過ぎるしなぁ〜。試しに私を変えてみればええんちゃう? 一人称を変えて自己紹介、みたいな?」

「俺はルシリオン」

「違和感が半端やないな〜」

苦笑いしつつ即答したはやて。「え? 変なのか・・・?」以前の次元世界では、俺、で通していたんだが。はやてやなのは達も何も言わなかったから、一
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