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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
『保護』
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「あんた! 何やってんだ! カルラを離せ!」

 クロエが今にも飛びかかりそうな勢いで立ち上がろうとして……動きを止めました。クロエの視線の先にはトルスタヤ代表がいつの間にか構えた銃をクロエの額に向けていました。

「申し訳ありませんが艦内での暴力行為は禁止事項です。危険因子を排除するという形で発砲も許可されていますがよろしいですか?」

「目の前のこいつがやってるのは暴力行為じゃないってのか!」

「中佐は『爪を切る』と言っただけでまだ何も切ってはいませんが?」

「屁理屈だろ!」

「さあ? とにかくお座りになってください。引き金に掛けている手がそろそろ限界ですので」

「くっ……!」

 クロエが悔しそうに座るとトルスタヤ代表が銃を下げました。流石にしまってはくれないようですが一応衝突は避けたという事でしょうか。私の指はまだ解放されていませんが。

「さてカスト候補生。改めて聞こう。君が戦ったのは確かに『アラクネ』だったんだね?」

 ニコラエワ中佐の笑顔で発せられたその言葉に私は唾を飲み込む。この答え一つで私の指がなくなるか無くならないかが……決まりま……あれ?

「はい、そうです」

「うん? それはどちらとも取れる答えだが?」

「私の見たことのないタイプの……ですが」

「は?」

「私はあのタイプの『アラクネ』とは戦ったことはありません。が、コールフィールド候補生がそこまで言うのであればあれは『アラクネ』なのでしょう。自分の無知さが嫌になりますが……」

 く、苦しい言い訳です! 実際私は一度も「『アラクネ』と戦った」とは言ってないわけですがこれは苦しすぎます!一分ほどは沈黙が続いたでしょうか。

「ふ……ふふふ……なるほど、見たことのないタイプ、か」

 ニコラエワ中佐は少し笑うと私の指先にシガーカッターを合わせて……

バチン!

 鈍い音と共に爪の先端を少しだけ切り落としました。

「おお、久しぶりに人の指を深爪させないで済んだよ。それにしてもカスト候補生。第2世代のISが分からないようでは駄目だ。もっと精進するように」

「は、はあ……」

 安堵の声とも了承の声とも取れる気の抜けた声が私の口から洩れました。両隣にいる二人からも同じように息を吐いたのが聞こえます。
 それにしてもあれで納得してくれるとは思わなかったんですけど、なんで引き下がってくれたんでしょう?

「他にもたくさん聞きたいことはあったんだが、外に君たちのお迎えが来たようだ。甲板に上がってくれ」

「は、はい」

 ニコラエワ中佐はそう言うと軍服を翻して医務室を出ていきました。

「カスト候補生」

「な、なんでしょうか?」

 残ったトルスタヤ
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