ファントム・バレット編
ファストバレット
悪夢の再来
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の良い高揚感。それは未知なる世界への興味。
強敵と相間見えた時の加速感。それはまだ知らぬ相手とのぶつかり合いを通じての対話。
「なんだ。簡単じゃないか」
試合を終わらせる銃声が渓谷に響き渡った。すっ、と地面に着地したレイはどこか満足げだった。
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チチッ……。
予選終了と同時にログアウトし目を開けると、安岐ナースがひらひらと手を振っていた。
ほぼ同時に帰ってきた和人の電極を剥がしにかかっているのを見て、先程の動作に納得する。
「はぁ……」
自分で電極を剥がしつつ、ふと気になって和人を盗み見る。リザルトで例のシノン共々本戦出場を決めているのは知っていたが、その割には覇気が無いように思えたのだ。
夜も遅いので、手早く帰り支度を済まして病室から出ると、和人は無言で暗い廊下を歩き始めた。
「……どうした?」
話し掛けづらく、駐車場までタイミングを図ったあげく、遠慮がちに訊ねる。和人は淡い光を抱いた目を向けてしばし考える素振りを見せると、話し出した。
控え室で黒いボロマントを着たプレイヤーに話し掛けられたこと。その人物はSAO時代のキリトを知っていた。つまり、SAO生還者だということ。そして、その腕には西洋風の棺桶、蓋にはニタニタと笑う不気味な顔が書かれていて、棺桶の内部からは白骨の腕が手招きしている、というタトゥー。殺人ギルド《ラフィン・コフィン》のエンブレムが施されていた。
そして、そいつが《死銃》であろうこと……。
「……そうか」
あの夜の事は意識的に忘れてきたのであまり記憶にない。
討伐に参加したあらゆるプレイヤー達は狂気に飲まれ、血みどろの戦いになった。かく言う俺も倒れていく討伐隊の面々を前に正気を失って実に10人以上を斬り殺した。
その時の生き残りがまた殺人を犯しているという事実に俺は戦慄した。約1年も経った今、何故……。
「……分かった。俺の方も気を付けておく。……明日、どうするんだ?」
「……行くよ。これ以上犠牲者を出すわけにもいかないし、シノンと再戦の約束も有るからな」
「そう、か……」
確かにこれは俺達の義務なのかもしれない。元《ラフィン・コフィン》の殺人者を倒しPK、いや、人殺しを止めさせる為に……。
「……送るよ。護衛だし」
「ああ。サンキュ」
俺達は縦に並ぶと、道路を川越方面に走っていった。
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家に帰り着いたのは日付を跨いでからだ。
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