ファントム・バレット編
ファストバレット
悪夢の再来
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「あははは、逃っげろー!」
「……やれやれ」
事の発端は掩蔽物の無いこのフィールドに両者が不満だった事に始まる。
試合が始まった直後に堂々と仁王立ちされ自己紹介と、障害物作っていーい?と聞かれ、それを承諾したのだ。
土煙が収まり、良い具合に岩だらけになった所でエイコッグは満足そうに頷くと、向こう側に背を向けて走っていく。
「協力ありがとう!じゃあ、30秒後位にね!」
「あ、ああ……」
後ろから撃たれてもかわせる、あるいは俺が撃たないと信じている。だとしたら、どちらにせよとんでもない大物だ。
(ゲームを楽しむ、か……)
デスゲームから解放されて早1年。デスゲーム以前から度々死線を潜って来た彼からしてみればアインクラッドでの日々は日常の延長戦上だったと言っても本来ならば過言ではない。だが、あのゲームだけは違った。現実よりもリアルに人の内面を写し出したあの世界で彼は様々なものを思い出し、また新たに学んだ。
その1つが『死への恐怖』であり、『生きる意志』だ。
それは他のどんな事よりも深く心に刻まれ、今もまだ彼に影響を与えている。
フルダイブ技術の闇を現在進行形で観察し続けている彼にとってエイコッグ――また、キリト達――のような純粋にゲームを楽しんでいる人を見ると様々な感情が浮き上がってくるのだ。
(……俺も、いつかは)
銃声がして慌てて意識を切り替えると、エイコッグが岩から岩へと跳躍しながら手にしたアサルトライフルを撃ってくる。
足下で銃弾が弾け、足をかするのを感じて後方に跳躍する。無数の弾道線の合間を潜り抜けながら今度はこちらから距離を詰めていくと、エイコッグはニヤリと笑ってバックを開始した。
距離は300m。それが恐らくあのアサルトライフルの命中距離なのだろう。
(300……もう少しだな)
エイコッグのアーマーは大した性能ではない。それこそ、さっきの試合で用いた『切り札』のあの銃を使えば勝敗は簡単に決する。しかし、俺は何故かその手段を取らなかった。
岩の間を潜り抜け、飛び越え、俺は距離を詰めていった。エイコッグの表情をはっきりと見ることが出来る位置まで詰めていくと、彼の笑顔の中にハッキリと焦りがあるのが読み取れた。
―ザッ……
距離50m。俺は体に急制動をかけて止まり、同時に右腕を振り上げた。
しかし、エイコッグも空中でアサルトライフルの照準を俺に合わせている。
エイコッグの掃射。狭い岩の間で挟まれ回避が難しいそれらを左手のコンバットナイフが明後日の方向に弾く。
(……ああ、そうか)
最後の弾を弾き、自身も跳躍すると、エイコッグの額に拳銃を照準した。
SAO、ALO、WBOと世界を渡り歩き、幾度と無く感じた気持ち
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