第二部
神との遭遇
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『ミツケタ・・・!』
「え?」
エリカが魔術を使用した瞬間、その声は響いた。大地を震わせるその声は、恐ろしい程の威圧感を持ってはいるものの、どこか鈴の鳴るような可憐な声に聴こえた。
ゴッ!!!
突如、海が沸騰した。自然現象では考えられないほどの熱量で瞬間的に気化した水分は膨張し、大爆発を起こす。それは、魔術で身を守ることが出来るエリカとは違い、ただの一般人の護堂には、どうすることも出来ない事であった。
ここで不幸だったのは、エリカは護堂の事を、どこかのカルト魔術結社の人員だと思い込んでいた事である。彼女は突然の爆発に驚きつつも、この程度ならばある程度の腕を持っていれば防ぐ事が可能だと考えてしまった。恐らくまつろわぬ神が顕現したことによる現象だと思われるが、神の神気が混ざった攻撃という訳ではないのだから。逆に言えば、ただ降臨しただけでこれ程の破壊を齎すまつろわぬ神は、やはり人間に太刀打ち出来る存在ではないとも言える。
エリカの中では、護堂たちは、まつろわぬ神の招来に成功するほどの魔術師という設定になっていた。ただの爆発を防ぐ程度なら、楽勝だろうと、そう考えていたのだが・・・。
周囲に舞う煙を魔術の風で吹き飛ばしたエリカが見たのは、背中や顔が醜く焼け爛れながらも、体全体を使って少女に覆いかぶさり、爆風から守る護堂の姿であった。
「な・・・何やってるのよ!?」
あまりの光景に、エリカは思わず駆け寄った。周囲の状況は酷いものだった。コンクリートの地面や近くの建物は吹き飛んだ。美しかった海は、未だにボコボコと沸騰し、そこに住んでいた生物は全て死滅してしまっている。恐るべきことに、浜辺の砂が溶け、硝子状に変化してしまっていた。
護堂の状態も、酷い物であった。服は焦げ、背負っていたリュックは原型を留めていない。薄着だったのも災いし、彼の体で火傷になっていない部分を探すことなど不可能な程の状態であった。吹き飛んだコンクリートの破片が至る所に突き刺さっており、幾つかの骨は折れている。
だが、それほどの傷を負ってなお、彼は少女を庇い続けていた。既に意識は朦朧としているため、無意識の行動ではあるが、それでも少女を強く抱きしめていた。
「魔術を使った痕跡すらない・・・。もしかして、一般人・・・?でも、一般人があの一瞬でこの少女を庇ったっていうの?」
恐るべき精神と反射神経である。魔術で強化している訳でもないのに、ほんの三、四秒で到達した爆風から、ほぼ完璧に少女を守ったのだから。自分の身を守ることよりも、出会ったばかりの少女を守ることを優先したのである。
しかし、それでも幾つか疑問が残る。
「・・・でも、確実に即死レベルの爆風だった筈・・・。一般人だというのなら、何で生きて
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