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漆黒の姫君と少年は行く
第1話「召喚に応じた騎士は頭を抱える」
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たという女性がいてな、お主はあの方と知り合いなのかの?」
「ん?」

視線を辿り、扉の方を見る。
そこには学園には似つかわしくない、華やかな漆黒の衣装を着た黒髪の少女がいた。
それが誰であろうかは僕が一番よく知っている。

「ひ、姫!?」

思わず声を上げてしまい、彼女を取り囲んでいた人達が皆こちらを振り返る。
恐らく姫、という言葉に反応したのだろう。

「いつも通りの話し方で宜しくてよ?こんな場所でまで執事口調なんてあなたも疲れるでしょうに」

そう言ってくすくすと上品に微笑むアルトルージュ・ブリュンスタッド。その仕草にも男子に限らず、女子までが顔を赤くした。

「ご、ごめんアルト。まだ夕焼け時なのにここに来るとは思わなかったからさ」
「普通ならそんなことはしないわ」

そう言うとアルトは僕の側に来て、

(既に二騎のサーヴァントが召喚されたわ、これ以上はのんびりできないから呼びに来たまで)
「……!」

それを聞いた僕は、頷いてアルトと教室を後にしようとする。が、そこで呼び止めるものが二名いた。

「ちょっと吉井!その人とどんな関係なのよっ!」
「そうですっ!どんな関係なのですか!」

後ろから黒いオーラを出して明久に詰め寄る二人の女生徒、島田美波と姫路瑞希だ。
まわりの男子は彼女達の剣幕にたじたじになるが、今の明久は早いことサーヴァントを召喚しなくてはならないので、二人に構っている時間すら
惜しい。だからどこふく風といった感じに答える。

「アルトとは恋人同士だよ」
「「なっ!?」」

衝撃で絶句する二人を押しのけて僕は学園を後にした。因みに僕が住むアルトの千年城までは結構距離があるので、帰るときは屋根の上を肉体強化してショートカットした。
本来なら一介の魔術師である僕よりもアルトの方が桁違いに強い。
魔術師なら誰もが恐れる死徒27祖、その中でも上位の第9位に君臨する程の漆黒の吸血姫アルトルージュ・ブリュンスタッドは自分は走らずに、何故か僕に所謂お姫様抱っこされていた。

「ちょっ!アルトは僕より圧倒的に速いんだからさっ!?」
「手厳しいこと。ですが、女を本気にさせるのも殿方の器量のうちですよ」
「あぁもう分かったよ!やればいいんでしょやれば!!」

そんな文句にアルトは余裕の表情で、そんなことをのたまってくる。
半ば投げやりな感じでアルトを抱き上げたまま、拠点へと帰った。




「ただいまーって……うわぁあああ!!??」
「お帰り明久ぁぁんブフォア!!?」

千年城に入って僕が帰宅の報告をしようとして悲鳴を上げたのと、フィナが腰をくねくねさせながら僕に飛び付こうとしてぶっ飛ばされたのは同時だった。

「ふふふ…フィナ、人の殿方に手を出
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