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漆黒の姫君と少年は行く
第1話「召喚に応じた騎士は頭を抱える」
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って…………あれ?

「遠坂さん?」
「何?やっと止まる気になった?」
「いや、そんな気は欠片も無いけど……それより猫の皮、すっかり剥がれ落ちてしまってるよ?」
「……え?」

思わず足を止めて、自分の状態を確認する遠坂さん。そして事態に気づいたのかみるみる赤面しはじめた。面白いので様子を眺めていたいのは山々だが、この機会を逃せば逃げられないだろう。
後ろから 覚えてなさいよっ!!なんて不穏な叫びを聞きながら僕はFクラスへと飛び込んだ。

「遅れてすみません……」
「事情は把握しましたから大丈夫ですよ。……それにしてもまた、ですか?」

謝罪した僕に同情するような視線を向ける福原先生。実はこの頃、遠坂さんと僕のこのやり取りは日常茶飯事になってる気がする。

「では吉井君が最後ですから、自己紹介をお願いします」
「はい。吉井明久です、これから一年仲良くしてください」

軽めに自己紹介を済ませると、そのまま空いてる卓袱台に腰を下ろす。
……今さらだけど、少し位は起きてせめてEクラス位には入った方が良かったのでは、と後悔する。それほどまでにこの教室は酷い環境だったのだ。

「うぅ……」

隣で生気の無い声がしたので振り向くと、思わず顔を引き吊らせてしまった。
だって死んだ魚のような眼をした雄二がいたから……。

「ゆ、雄二どうしたのさ?」
「明久か……俺はもう駄目かもしれん。翔子が本格的に黒魔術を……」

段々と霧島さんが悪い方向に足を踏み入れてるような気がする。

「けどそんな迷信みたいなこと信じるなんて、霧島さんも可愛いね」
「笑い事じゃねぇぞ。何か閉じよ閉じよ閉じよ閉じよ……ってぶつぶつ怖いんだよ」

……………え?
一瞬耳を疑った。

「ねえ、霧島さん……『繰り返すつどに 五度。ただ、満たされる刻を破 却する』とかも言ってなかった?」
「よく知ってるな……まさかお前まで黒魔術を!?」

その後の事はよく聞こえなかった。
雄二の言ってることが本当だとしたら、最悪の状況を迎えることになる。
霧島さん……彼女が呟いていたのはサーヴァント召喚の準備段階での詠唱。
これも秘匿中の秘匿で、魔術を持つ人の中でも知っている人は限られている。
霧島さんが何かしらのサーヴァントを召喚しようとしているということは、そう……いずれ僕と彼女は殺し合う事を意味する。

そんな嫌な結果を考えまいと必死に頭を振り払うけど、拭い去ることは叶わず、放課後までに至ってしまった。



「明久、起きるのじゃ明久!」

一体どれくらい考え込んでいたのだろう。
気がつくと寝てしまい、とっくに授業を終えていた。

「ごめん、起こしてくれてありがとう。それでどうしたの秀吉」
「お主に会いに来
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