第一物語・後半-日来独立編-
第二十六章 目指す場所へ《2》
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砲撃を防ぎ砕けた防御壁の塵が落ちるなか、何とか姿勢を正した。
今の日来に対抗手段が無いわけでは無いが、それらは全て宇天の長救出時に使用するものなのでここで下手に使い、いざというときに使い物にならないのでは話しにならない。
ここは嫌でも防御でしか事を進めるしか出来ないのが現状だ。
『どうやら先程左舷後方・子夜に激突したのが黒明だったようですね』
『さすが鉄鋼艦。突撃はお得意ってわけか』
「今まで潜んでいたな学長」
“日来”が映る映画面|《モニター》に度々映ってはいたが、特に発言しなかった榊が久し振りに口を開く。
顎に手をやり、髭をいじる榊は困ったように眉を下げている。
『ここで耳にしたんだけど、どうやらこの異常事態に紛れて日来内にいる黄森の隊員も暴れているみたいよ。今は学勢と社交院とで防いでいるからいいけど、運の悪いことにどうやら残っているのが実戦を積んだエリート隊員らしくてね。手を焼いてるみたいなんだ』
「あ――! もう、これからってときに面倒だな」
「そうイラつくな。霊憑山を越えれば辰ノ大花はすぐそこだ」
イラ立つセーランを飛豊がなだめる。
だが飛豊の言葉を否定するように、“日来”が言葉を付け足した。
『すみませんがそれは無理です。どうやら黒明がステルスを利用し一艦船首へ回り込んでいます。主砲発射に用いる流魔吸収の反応により位置を捉えましたが――』
言葉を続けようとしたとき、前方から空気を押し爆音が来た。
音は木々を打ち、大気を押す。
この音を確認し、“日来”は一礼し、
『どうやら主砲が発射されたみたいですね。呑気に話をしていたのがいけなかったと判断出来ます』
『日来総括の君がそれでいいの?』
『ご心配せず、私達機械人形は馬鹿ではありません。ほら、この通り無事に』
と、映画面に中央前方船・明石の船首が映し出される。
表情は変わってはいない“日来”だが、何処か誇らしげに見える。
皆は表示された画面を我先と見るが、
「これ、防げてるの?」
沈黙が流れているなかで、迷い無くニチアが言う。
あ、と誤魔化すように皆は叫び、その言葉を消そうとする。
『……どうやら防げて無いみたいですね。緩和系加護を保険に発動しましたので、航行に影響する程の被害は無いみたいです。が、何をやっているのですか貴方達は』
『は? 幾ら日来総括と言えどもその発言は聞き流せませんね』
『ほう、この日来総括の私とやり合おうとは機械人形の判断とは思えませんね』
『それでは一戦交えますか?』
“日来”対その他の機械人形の争いが始まろうとする。
作業を続行しつつも、視線で相手を半目で睨み付ける。
「ぎゃ――! 常に冷静の筈の機械人形が争い起こそうとしてますよ!」
「美兎殿、落ち着くで御座よ」
「お? リ
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