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形而下の神々
過去と異世界
レミングス
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ま私達に同行するならそのつど指摘しますよ」

どの程度というか、全てだろ。
何も知らねぇし。


「まぁ、とりあえずこちらに来て下さい。そこは神聖な場所。
基本的に立ち入りは禁止ですよ」

そんな基本的な事も、俺達は知らないのだよ。
と、案内されるままに神殿から出た俺達の目に映ったのは、これまで見たことの無いような広大な草原だった。

「ここはデリ高原地帯。今は高原の街、ティベを目指しているの」

見ればモンゴルの移動式のテント、ゲルの様なテントがそこら中に有る。
数はザッと50くらいで、一つの村みたいだ。

「レミングスはこうやって1つの大きな塊を作って世界中を旅しているのよ」
「目的は無いのか?」

「無いわ。私達は流動の矛盾。一所には留まれないの」
「同じ所に長く居るとその場所が天災に見舞われるんだ!!」

と、相変わらず元気なレミント。
神殿の外だからか、注意は受けなかった。

「よぉレベッカ、何だその拾い物は?」

少し会話していると、目の前を通った大柄な男が話し掛けてきた。

「旅の人よ。しばらく私達に同行するから神殿に挨拶してたの」

「えっ」「グランシェっ」

彼女の嘘にグランシェが驚きの声を上げたので、仕方なく小声で注意する。

どうやら彼女はレベッカという名前らしい。

レミングスの姉弟、レベッカとレミント。

名前が似ていてややこしいな。非常にややこしい。

「また拾い物か!!厄介事には巻き込まれるなよ!!」

そう言い残して、大柄な男は去って行った。
さっきから人の事を拾い物とか、失礼極まりないやろうだ。
少し眉間に皺を寄せていると、レベッカがなにやら説明を始めた。

「旅の途中の人がこの集落を見付けたら、途中まで同行する事が多いわ」

話によれば、旅人は快適な寝床を得て食料の補給も出来るし、代わりにレミングスが襲撃等に遭った際は旅人が率先して戦うらしい。

また、旅人が商品を購入する事で手に入る利潤は、性質上一つの街に留まらない為に定職に就けない彼等の貴重な収入源にもなっているそうだ。

「だから旅人さんは歓迎なんだけどね……」
「何かあるのか?」

気になったのでついつい続きを催促してしまう。

「いやぁ、ナツキさんがこの間まで居たんだ」
「はぁっ!?」

「ナツキさんは、とってもいろんな公式を使っててね、凄く素敵な人だった。
でも目的があるからってこの間消えちゃったの」

レミングスの性質上そういった類の別れは多いのだろうか。レベッカは別段悲しげな雰囲気もなく淡々と話した。

「で、別れ際に、未来から2人の男の人が来るからかくまってあげてって言われたの」

多分、その二人とは俺達の事だろう。

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