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妖刀使いの滅殺者
第12話
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いた。それも無理はないと言える。前衛になるためにはスキルや実力以前にモンスターと一対一で張り合える胆力が必要になってくる。サチは臆病な性格だったため(今もそうだが)剣士になる事に対する恐怖は絶大なものだっただろう
そして案の定、サチが宿から姿を消した



キリトからメールを受け、急いでサチが最後に目撃された場所に向かって≪追跡≫スキルを使いサチの後を辿った
サチは連絡不可エリアに指定されている水路の中に居た

「…サチ」

俺の声に一瞬体をこわばらせ、ゆっくりとこっちに振り返った
その目は涙こそ流してなかったものの確かに泣いていた

「…よく見つけられたね」

「スキルのお陰さ」

サチはふふっと小さく笑って、羽織っていたフードを下した

「立ってないで座んなよ」

隣を指して言った。俺はそれに従い、サチの隣に座る

「ねぇレイ。一緒に逃げよ…」

唐突な質問に俺は反射的に聞き返した

「何からだ?」

俯いたままサチが囁いた

「町から…モンスターから…黒猫団から――SAOから」

「心中でもする気か?」

「ふふ…それもいいかもね」

俺はその言葉についキレそうになる

「…冗談でも言うな」

俯いたままだから詳しい表情までは分からなかったが声だけは聞こえてきた

「ごめん。弱気になっちゃった。でもね、私、死ぬの怖いよ。怖くてこの頃寝れないの―」

声が震えている。もう怒る気も起こせない

「どうして、こんなことに…ッ。なんで?なんで?ゲームなのに止められないし、死ななきゃいけないの!こんなことしてだれが得するの!?」

この質問に答えるのは簡単だった。だが、「サチの求めている」答えは分からなかった

「そんな事考えたって意味ないぜ」

サチが驚いたような怒っているような目で俺を見つめてきた

「なんで!?意味なくなんかないでしょ!?」

「だって、お前は死なねぇんだから」

その言葉はなんの信憑性も持たない薄っぺらい言葉だった。だがサチはその言葉だけで心が救われていた

「…ほんと?」

「あぁ。あのギルドは十分強い。それに俺だっているんだ。お前が助けを必要とすれば、俺はいつでも助けにいくからさ」

サチの顔にようやく笑顔が戻ってきた

「うん…そうだね…」

俺の肩に月に照らされ幻想的なサチの頭が預けられ、そこでようやくサチの心からの笑顔が見えた
しばらくしてからケイタにメールし、宿に戻った。先にサチを部屋で寝かし、一階でケイタ達を待った
彼らが戻ってきてから俺はサチを剣士に転向させるのはやめた方がいい事、俺含めキリトに負担がかかる事に関しては、なんら気負う事がないこと、そして、俺が正式に月夜の黒猫団に入団す
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