第七章 銀の降臨祭
第三話 銀の降臨祭
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め上げた。
シティオブサウスゴーダから三十リーグほど離れた雪深い山の中。茂みの奥深くにある。雪が積もり白く染まった岩場の上に、ローブを深く被った人影が一つあった。岩場の隙間からは、こんこんと清水が湧き出している。
岩場の上から、湧水を見下ろしていたシェフィールドは、ポケットから一つの指輪を取り出す。
「アンドバリの指輪……先住魔法の力が凝縮した指輪……」
指輪を雪雲の隙間から除く月明かりに掲げる。
指輪が月光に照らされ、淡く蒼色に煌めく。
「その真の力……」
フードの奥に見える、シェフィールドの額が光りだす。
光っているのは、シェフィールドの額に見える古代のルーン文字。
「……あなたに……止められますか…………」
指輪を握った手を湧き出る泉に向かって突き出す。
手の隙間から、ぽたりぽたりと何かの雫が落ちていく。
岩場の隙間から湧き出る水……シティオブサウスゴーダに流れ込む水源に、指輪の雫が落ちていくのを見つめながら、シェフィールドはポツリと呟いた。
「…………ガンダールヴ」
連日連夜続いたお祭り騒ぎも、遂に最終日を迎えた。
シティオブサウスゴーダの町並みは、降臨祭始めから降り続けた雪により、白く染め上げられている。
一面の白銀の世界。
それが……。
「やめろッ! やめてく――っぎゃぁ」
「何で!? 何でお前が杖を向けるんだっ!? 俺が何か――っごぁ」
血の赤と、踏み潰されることにより、黒く染め上げられていた。
悲鳴と爆発音が響く中、シティオブサウスゴーダに駐屯していた連合軍が、同じ連合軍に武器を向け、槍を突き、剣で斬り、矢を放っている。顔に感情が浮かんでいない連合軍が武器を振るい、対する連合軍は、驚愕の声を、悲鳴を上げるだけで、武器を振るうことも出来ずただ混乱していた。
何の前触れもなく始まった『反乱』は、対応に窮する兵たちを尻目に、連合軍の最高指揮官であるド・ポワチエを楽々と殺害する。反乱を鎮めようにも、つい先日まで笑い合っていた友軍に攻撃を加えることは出来ずにいた。その結果、連合軍は『反乱軍』から逃げることしか出来ない。死亡したド・ポワチエ将軍の代わりに最高指揮官についたウィンプヘンは、何とかこの『反乱軍』を沈めようとしたが、偵察に出ていた竜騎士が報告した情報によって、それを諦めることになる。竜騎士が持ち帰った情報とは、ロンディウムのアルビオン軍が動き出したこと。これにより、連合軍の混乱は頂点に達し、用意に限界を超えた。
結果、ウィンプヘンが決断したのは、
「……シティオブサウスゴーダは放棄する……ここはもう駄目だ、ロサイスまで退
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