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東方調酒録
第六夜 星熊勇儀は勝負が好き
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と笑った。
「星熊 勇儀だ。 客だよ。 席に案内してくれ」
悠は勇儀をカウンター席に案内した。席に座った勇儀はカウンター内の棚を興味深そうに眺めた。
「実は萃香から話を聞いてきたんだ。 面白い酒が飲めるとかで」
やっぱり鬼同士知り合いなんだなと悠は思った。
「日本酒と前に宴会で“わいん”というもの飲んだが、 こんなに酒は種類があるのだな」
勇儀は楽しそうに言った。酒が好きなのだろう。
「なにか、飲んでみます?」
悠は山崎50年を手に取った。冷やして、丸氷を入れたウィスキーグラスに半分まで注いだ。勇議は一気に飲み干した。
「ほう、いい香りだ。 木の味がするな……」
勇儀はおかわりと言ってグラスを出してきた。どうやら気に入ってくれたようである。
「これが“かくてる”っていうものか? 酒を混ぜると聞いたのだがな」
「それはオンザロックですよ。 混ぜるのがいいのでしたら…… 」
悠は後ろの棚を少し眺めてから、カシャーサとラムを取り出した。ラムを四つ切にして砂糖と一緒にグラスに入れて潰し、そこに氷とカシャーサを入れた。
「カイピリーニャです」
勇儀が手に取り口に付けた。また一気飲みであった。
「甘味と苦みがいい感じに混ざってるな、 驚いたなコクもいい。 それですっきりしている」
もっとくれっとそう付け加えた。
「カシャーサ……ピンガというお酒は地酒的な味わいを持つ酒です。ラムを皮ごとつぶすと味わいは荒々しくなる。 最後に砂糖を甜菜糖という甜菜からとれたものを使っているので味にコクがでて、焼酎を飲みなれている者の口には合いますよ」
悠が説明した。勇儀はコップを見つめながら少し考えたのち
「気に入った! あんた地下に来なさい! 」
いきなりの誘いに悠は驚いた。
「お酒を気に入ってくれるのは嬉しいけど、 この店が気に入ってるので、 すいません」
悠はやんわりとお断りをした。
「そうかい、 じゃあ勝負して私が勝ったら来てもらうよ」
「え!?」
なぜそうなると悠は内心思っていたが、口には出さなかった。悠は誰がか入ってきて助けてくれることを祈ることにした。祈りが通じたのか、にとりと椛、烏天狗の射命丸が入ってきた。悠はすがる目を三人に向けた。勇儀も入口の方に目を向けた。
「あん? いつぞやの烏天狗じゃないか」
とたんに射命丸はへらへらと謙った。
「これはどうも、どうも」
といつもならカウンター席に座るのに後ろのテーブル席に三人で座った。残りの二人も勇儀に怯えているようであった。どうやら犠牲者が増えただけのようである。
「さぁ、 どうするんだ? 」
勇儀が目を細めながら言った。
「僕が勝ったらいいことあるんですか? 」
「ない! 代わりに勝負方法はあんたがきめていいわ」
口端をつりあげながら勇儀が悠を見下ろした。な
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