第八話 オスティアは落ちず
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ですから」
「そうじゃな、儂等はそんなに頼りないかな」
「そうですよ、僕だって何かの役に立てるはずです」
「タカミチの言う通りじゃ」
「そうですよ」
「いやー良い写真が撮れましたね」
ラカンが、詠春が、ゼクトが、タカミチが、ガトーが、クルトが、意を決した顔で2人に話しかけるが、アルだけはおちゃらけていた。
「しかし、皆が集まろうと、アスナを犠牲にする以外、広域魔法消失現象を消すことは不可能なのじゃ」
アリカが現実を思い出し暗い顔で独白する。
それを聞いた皆も押し黙るが、普段はおちゃらけた態度の月詠が真面目な顔で話し始める。
「まあ聞いてな。確かにライフメーカーの世界を無に帰す儀式=広域魔法消失現象はアスナを使って消すしかないのが現状やけど」
「じゃあ、姫子ちゃんを犠牲にするって言うのかよ!」
ナギの叫びに話の腰を折られた月詠がにこやかに笑いながら凄む。
「ナギ、さっきも言うたけど、話は最後まで聞く事やで」
「月詠さんの後にドラゴンが見えるけど、気のせいだよね?」
タカミチの言葉に皆が脂汗を出しながら否定する。
「儂も見える」
「私もです」
威圧感の凄さに皆が縮みこむ。
「さて、アリカはんには世界を救う術式詠唱をやって貰うで」
「月詠お前人でなしか!」
「ナギ、静かにしてくれへんか」
更に威圧感が上がる。
「世界を救う術式詠唱はやって貰うけど、アスナはんは無事に此処から出る事ができるんや」
「月詠殿何故じゃ?」
「まあ、見とってな」
アリカの疑問に答えずに月詠が護符をアスナの封印されている水晶に張り付けるとアスナだけが水晶から浮かび上がり浮かんだ状態で月詠の目の前に来た。
「アスナ」
「姫子ちゃん」
アスナ姫の姿に安堵する皆。
「月詠殿、アスナを出してしまっては、世界を救う術式詠唱が完成しないのじゃが」
アリカが顔を曇らせながら話す。
「アリカはん、アスナはんが居のうても大丈夫なんや」
「何故じゃ?」
「此や、此」
「何じゃそれは」
そう言う月詠の手には真っ赤な宝石が握られていた。
「此はうちが集めた余剰魔力や、此にアスナの髪の毛を添加して呪文を唱えれば、あら不思議」
そう言いながらアスナの髪の毛を抜いて真っ赤な宝石にまるでゼリーに刺すように髪の毛がスーッと消え去っていき。呪文が終わると未だ眠っているアスナと寸分違わぬ人間が誕生していた。
「おいおい、姫子ちゃんそっくりじゃねーか」
「アスナに瓜二つじゃ」
「此は」
「ツルペタで素晴らしいですね。此は是非私にも月詠さんのコピーを」
素っ裸のアスナコピーを見てアルが場違いな暴走をしているのを無視しながら、月詠が素早く魔法で出したドレスを纏わせる。
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