第1弾 『私は欠陥品さ』
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(マズい……このままでは、非常にマズい)
アリア襲撃の翌日。ジャンヌのおかげで大分マシとはいえ、それでもアリアによって日常生活を破壊されつつあるキンジは、取り敢えず探偵科
インケスタ
での依頼
クエスト
を受け、非常に疲れた様な困った様な……多分、両方が入り交じった表情でそう思った。
まぁ、ごく平凡な普通人を目指しているキンジにとって、アリアはかなり困った存在だろう。
「――どうしたのキンジくん?」
と、若干下を向いて歩いていたので気が付かなかったが、聞き慣れた声が聞こえたので、キンジは顔を上げて答えた。
「理子……じゃなくて、リリィか」
「あはは、また間違えられちゃった。そんなに似てるかなぁ?」
んー、と唇に指を当てる少女。ふわふわと揺れる、金色ツーサイドアップの天然パーマの髪。かなり小柄な体型で童顔。ここまでは、キンジのクラスメイトでアリア登場初日にアホな推理をし、アリアの風穴発言まで導いた少女、峰
みね
理子
りこ
と瓜二つなのだが……その、ジャンヌとは対極的なルビーレッドの瞳。そして何より、キンジをしっかり“くん”付けで呼ぶ辺りで判断が出来る。
総じて何が言いたいかと言えば、初見では見違えてしまう程に峰 理子とリリィは似ていた。
「まぁそれはそうと、どうったの? そんなこの世の終わりみたいな顔してさ」
「いや、それが――」
「キーンジ」
――瞬間、リリィの後ろに現れた“アリア”が見えて、キンジが見事な迄に崩れ落ちた。普通に、待ち伏せされていたらしい。
「な、なんでお前がここに……強襲科
アサルト
の授業、サボって来たのか?」
「アンタがここにいるから。それに、アタシは卒業できるだけの単位、持ってるもんね」
「って言うか、こんな美少女が待っててくれたのに、なんで崩れ落ちてるの?」
――まぁどうせ、あっち(ヒステリア)方面で面倒な事、起こったんだろうけど。それこそ、ジャンヌでもフォローしきれないような。
ちなみに、分かるだろうが大方は間違っていない。そんな見事な予想を展開しつつ、リリィはアリアの方に向き直り、ロングスカートを摘んで丁寧にお辞儀をした。
「さて……初めまして、私の事はリリィとでも呼んでください」
「あ……うん。神崎・H・アリアよ」
若干戸惑い――瓜二つの、理子との差異に――ながらも、アリアはリリィに応じて自己紹介をする……その素直さを、少しで良いから自分の扱いに分けてくれ。そう思ったキンジだが、当然アリアには届かない。
役者は着々と集い出した……様々な願いと思いを乗せ――歪んだ物語は、動き出す。
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